豊川(とよがわ)用水の整備構想を掲げ、東三河の産業発展に貢献した政治家の近藤寿市郎(1870~1960年)の生涯を描いた市民劇「豊川用水の父 近藤寿市郎物語~大ボラ吹きのこんじゅ」が来年8月、田原市渥美文化会館で上演されることが決まった。企画した上演委員会のメンバーらは「昨年から渇水が続いた。水不足の今こそ寿市郎の功績が再認識できる」と説いた。
近藤寿市郎は渥美郡高松村(現田原市高松町)に生まれ、県議や衆院議員を経て1941~45年に豊橋市長を1期務めた。ジャワ島視察にヒントを得た宇連川の大灌漑(かんがい)用水路の構想が豊川用水誕生につながっており、生みの親として地域で語り継がれている。
その言動と構想の大きさで「近寿(こんじゅ)の三大ホラ」といわれたが、先見性も評価されている。
来年8月の公演に向けて9月29日、地域の関係者ら有志で上演委員会を立ち上げた。渡邊幸久さんを委員長に、2021年の「崋山劇」を手掛けた岡本善裕さんが脚本、舞台演出を担当する。
寿市郎を題材に選んだことについて、上演委の井土生恵さんは「郷土の偉人を調べ、あまりに大きな功績と再認識させられた。小学校の副読本などで学ぶ機会はあるが、まだ浸透し切っていない」と説明した。
劇中では生涯を三つの時代に分けた。高松村での少年期、一旗揚げようと上京するもすぐ帰郷した青年期、政治家となった壮年期と戦後の公職追放を機に実業家となった晩年までを描く。今でこそ農業が盛んな渥美半島だが、当時は常に「水の危機」と隣り合わせだった様子を描くという。
東三河では昨夏から深刻な雨不足が続き、豊川用水に水を供給する宇連ダムが枯渇。今夏も再び水不足に陥った。設楽ダムも完成の見通しは8年後だ。
渡邊さん、井土さんらは「単なる偉人伝ではなく、寿市郎の再評価と地域の水問題を見つめ直すきかっけにしたい」と観賞を呼び掛ける。
出演者公募は来年2月に田原市やJA愛知みなみの広報、上演委の公式SNSで発表予定。寿市郎、幼なじみの伊藤庄吉役を各3人選び、総勢20人で演じるという。
問い合わせは上演委の井土さん(090・1624・6871)へ。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。