豊川信用金庫は、豊橋支店の取引先同士によるM&Aの手法を活用した事業承継を成立させた。売り手と買い手が同じ支店の取引先というケースは珍しく「地域に密着した地元金融機関だからこそ実現できたスキーム」と話す。
豊橋駅前で居酒屋「どんべえ」を運営する「幹成」が、同じく駅前の居酒屋「ひっぱり凧(だこ)」を運営する「エヌケー」から店を事業承継した。従業員も引き継いだ。
幹成の山口義晴社長(43)は「同じ業態で、しかも同じエリアで営業している店。地域の顧客ニーズを把握しており、事業の規模拡大につながると判断して承継を決めた。従業員も引き継ぐことができ、安定して店の運営ができる。ひっぱり凧の今のコンセプトを大切にして、さらに店のブラッシュアップに取り組んでいきたい」と意気込む。
エヌケーの高橋宏行社長(72)は「後継者がおらず、自身の年齢も考えて、承継先を探していた。近くで、しかも顔なじみの人が店を引き継いでくれたので、安心して事業譲渡ができた」と話した。
豊川信金と連携する都内のM&Aプラットフォーム企業「バトンズ」の酒井龍太郎さんは「今回の事業譲渡は、地域の活性化にもつながる好事例」と指摘する。
中小企業全体の約半数で後継者が不在とされる中、豊川信金では一昨年4月に事業アトツギ支援課を設立し、事業承継に力を入れている。「後継者がいないことによる廃業を少しでも減らし、事業承継につなげることは、地域の衰退を防ぐことにもなる。今後も積極的に取り組んでいく」とする。
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1973年生まれ、豊川市出身。建設業界に勤務後、96年に入社。2022年から豊川市を担当している。趣味は美術館巡り。ポッドキャストでラジオを聞くのも好きで、さまざまな番組を楽しんでいる。