田原市は、ふるさと納税制度を活用し、返礼品を提供する市内業者を対象にした資金調達の支援を本格化した。ふるさと納税サイトのクラウドファンディング(CF)で集めた寄付額に応じて資金を補助する。新たな地場産品の開発費や生産増強などの設備投資に生かし、地域産業の活性化につなげたい考えだ。
市は今年度、事業者の新商品開発のほか、既存商品の改良や増産を後押しする狙いで「市ふるさと産品創出・強化支援事業補助金」を創設した。CF型ふるさと納税のサイトで事業者が集めた寄付額に応じて半額(上限1000万円)を市財源で補助。事業者は、新産品の製造加工施設や設備購入費などを賄える。
複数の応募者から書類やプレゼンテーションなどの審査で、ジェラート店「スイーツ&ジェラテリアバロック」(同市高木町)と、養豚農家で食肉加工販売業「G・ファーム」(同市田原町)の2業者を採択した。
バロックは、片手でも食べやすい「スパウト付きパック」のジェラート開発と、6個カップ(各115㌘入り)の自動充填(じゅうてん)機を新規購入するため総額540万円の調達を目指す。
スパウト付きパックは来年1月発売予定。内容量100㌘前後でパッケージデザインを検討中だという。今月下旬までにCFサイトに追加コンテンツを掲載して先行予約も開始する。
生産性向上のため、現在は開業時に購入した足踏み式の充填機を使用しているが、これを自動式に変更する。今は1回の充填に原材料約4㌔を投入するが、機器の予冷ができず毎回2割超が廃棄される。新機種は自動化によるカップ詰めの均一化と、より少量ずつ継ぎ足す充填が可能だ。原材料を無駄にすることなく、より多くの商品提供が可能になる。
小林えりか店長(38)は「地元農家が栽培した農産物を使った商品を多くの消費者にアピールできる点が、CFサイトを活用する動機付けになった」と述べた。
G・ファームは自社の飼育農場で生産する「田原ポーク」の通販需要に応え、安定供給を可能にする生産性を向上させるための設備投資にCFを活用する。
ふるさと納税の返礼品やギフトなどの通販需要が好調で、制度活用以前から食肉加工や発送のための施設を拡張する計画があった。すでに自己資金で新たな生産拠点を確保し、今月下旬に稼働開始予定。CFでは新型ミートスライサーや急速冷凍機など増産へ向けた設備拡張で1600万円を調達したい考えだ。
ふるさと納税サイトでの出荷数は2023年が947件。24年は213%増の2021件、25年は同167%増の3382件に伸びた。鈴木康平販売部長(34)は「実店舗の小売や飲食店向け卸売、ギフトも合わせた販売部門の売上高は増加傾向だ」という。一方で「より多くの人に商品を届けきれない状況を解決したかった」と説明した。
CFは市が契約する5サイトから選ぶ。バロックは全5サイト、G・ファームが4サイトを活用する。CFでの調達目標達成で、サイト手数料など約半分を占める返礼事業の経費を市の補助で賄える計算だ。
市企画課の担当者は「ふるさと納税で集まった税収を地域産業へ再投資し、事業所得の工場や自立経営に向けた成長につなげたい」と説明した。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。