フクシマ・ルポ⑦

2018/03/15 00:00(公開)
立ち並ぶ太陽光発電のメガソーラー=福島県大熊町で
原子力から太陽光発電へ

 震災から7年を経て、被災地は少しずつ新しい未来へ歩みだしていた。原発の南に位置する大熊町や富岡町の避難指示解除区域には、太陽光発電施設のメガソーラーが広大な敷地に建設されていた。行政や福島発電など複数の企業との合同会社が運営し、原子力発電から、安全な再生可能エネルギーの発電への転換が進められている。
 大熊町大川原地区には、五輪の選手村ならぬ“復興作業員村”と呼べる一帯がある。除染や廃炉作業を担う東京電力が整備した社員向け単身住宅には約700人が居住。昨年4月には併設する形で「大熊食堂」が開店し、作業員だけでなく、一時帰宅する町民向けにも一般開放している。平日の昼間、週替わりの定食や丼、ラーメンなどが来店者の空腹を満たしている。
 一方で、人々の生活や夢を奪い、長い復興作業が続く被災地には、少なからずストレスや憎悪、人間関係の軋轢(あつれき)が生じていた。車で取材先を移動している際、スピードの遅い車に後方からクラクションを鳴らし、無理に追い越そうとする工事関係者のトラックを見かけた。
 前回は、県外で避難生活を強いられ、浪江町に一時帰宅する男性に同行する形で取材した。今回も同じ男性への同行取材を試みたが、丁重に断られた。取材した際の記事をインターネットで読んだ人から、心ない言葉を投げかけられたという。「あまり余計なことを話さない方がいい」「ヒーローにでもなったつもりか」。
 風評被害は農産物や海産物に限った問題ではない。賠償金額の違いから、隣人や親族間で仲違いするケースもあるという。結果的に男性の心を傷付けた“報道被害”も、それに含まれるだろう。被災地では想像以上のことが起きている。南海トラフ地震が迫り浜岡原発が近くにある東三河の報道機関として、それを伝え続ける使命がある。(おわり)
(由本裕貴)
東京電力が復興作業員向けに整備した住宅=同
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