間もなく夏の甲子園の県予選が始まる。甲子園を目指す東三河の注目選手を取り上げる。
正捕手の松井蓮太朗選手は、主戦の髙橋大喜地選手とずっと一緒に野球をやってきた。小学校4年から「向山ビクトリー」でバッテリーを組み始め、中学時代は「愛知豊橋ボーイズ」でボールを受け続けた。自信あふれるマウンド度胸や直球の切れなど、髙橋選手に一目置いていた。「高校でも彼の球を受けて甲子園に」
ボーイズ出身者でソフトバンクホークスの谷川原健太捕手を輩出した豊橋中央への進学を決めた。2人は着実に力をつけ、1年からともにベンチ入り。松井選手は正捕手として初の秋季東海大会出場に貢献した。2年夏は松井選手は5番でチームを盛り立て、髙橋選手は強打が開花し、右翼でスタメン出場する機会が増えた。
夏の県大会では2人の活躍もあり、16強までこまを進めが、8強を懸けた西尾戦でアクシデントが起きた。松井選手が五回の飛球捕球時に三塁手と激突。足くるぶしを骨折、その場で仲間に肩を担がれながら交代した。この試合は12対5で勝利したが、準々決勝の杜若戦では正捕手不在が響き、3対8で敗退した。松井選手は病院で治療し、準々決勝はベンチから声援を送り続けた。「皆ならやってくれると信じていた」。だが、思い届かずチームは敗退。ゲームセットの瞬間、悔し涙があふれた。「僕がけがをしてなければ勝てたかも。3年生の夏を終わらせてしまった」と自らを責めた。
3カ月間、リハビリで野球ができない日々が続いた。それでも励みになったのは髙橋選手ら仲間の存在だった。甲子園を目指し、グランドで白球を追う姿に「負けは松井のせいじゃない」と言われているのような気がしたという。もう一度自分を奮い立たし、昨秋から本格的に復帰。今春の東三河地区2次トーナメントでは、昨春センバツ出場校の豊川を破り、勢いに乗る。
髙橋選手とは息はピッタリかと思いきや「実はそうでもないですよ」と萩本将光監督は笑う。それでも「2人が軸。松井は捕手で一番大切な試合を支配できる力を持っている」と期待を寄せる。松井選手は髙橋選手について「どんな時も怖気づかない。配球で食い違うこともあるが、幼なじみだからこそ何でも言い合える。直球の球威もさらに出てきて、甘くても差し込めるので、自信を持ってサインを出せる」と話す。二塁に取ってから投げるまでのスピードも、今はトップクラスの1秒7台を計測することも。一方の髙橋選手は「松井だから一球一球腕を振って投げられるし、気持ちも出せる。打撃もここぞという時に一本が頼もしい」と信頼する。
松井選手は「絶対に甲子園出場。どこが相手でも今までやってきたことを出すだけ」。髙橋選手は「仲間と県優勝」と意気込んだ。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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