豊橋のエクスラージ、3年連続で愛知県の人権啓発ポスターに 仕掛けは「逆さ絵」で「きづくとかわる」

2025/11/30 00:00(公開)
採用された2連の人権啓発ポスターを手にする杉野さん、山本さん、共田さん(右から)=東愛知新聞社で
採用された2連の人権啓発ポスターを手にする杉野さん、山本さん、共田さん(右から)=東愛知新聞社で

 豊橋市花田町の広告企画制作会社「エクスラージ」が企画した人権啓発ポスターが、県に3年連続で採用された。人権週間(12月4~10日)に合わせて県内各地で張り出される。同社の山本訓之さん、杉野一平さん、共田奈央さんが東愛知新聞社で報告した。

 

 キーワードは「きづくとかわる」で、今回取り入れた仕掛けは「逆さ絵」。共田慎性社長のアイデアだったという。絵の上下をひっくり返すと、まったく別のものに見えるように描かれた「トリックアート」の一種だ。日本でも古くから親しまれており、江戸時代の浮世絵師、歌川国芳などが描いた、人の顔が集まって別の顔になる絵や、上下逆さにすると違う人物になる絵などが有名。「人権のポスターは素通りされがち。フックのあるデザインで目に留めてもらう。そこからまず興味を持って、知ってもらって、考えてもらう。それが気づくと変わる、につながる」と山本さん。

 

 逆さ絵のモチーフを「飛ぶ鳥とうつむく花」にすることは杉野さんがすぐに決めた。だが、完成したと思っても他の人からは花にも鳥にも見えないことがあった。約1カ月半かけて、20種類以上のデザインを作り直したという。

 

 そして共田さんがキャッチコピーを考え「あなたの意識が、誰かの希望になる」「誰かの偏見が、あなたの痛みになる」などの文字をちりばめた。うつむく花も、視点を変えれば空を飛ぶ鳥になる。逆さ絵を用いたデザインで、人権への気づきを促す。本当は1枚でよかったが、上下逆さまのポスターをセットで貼ることにした。

 

 動画版もある。こちらも対になっており、ピンクの服を着た男の子が登場する。一方では学校が大好きだったのに、「なんで男なのにピンクの服を着ているの」という級友の一言で学校が嫌いになる。もう一方では学校が嫌いだったのに「ピンクの服、似合ってるね」の一言で学校が好きになる。ナレーションや字幕をつけ、色にも配慮し、誰もがアクセスできるようにした。「小さい子どもでも気づくきっかけにしてもらいたかった」と共田さん。動画は各45秒。特設サイトで視聴できる。

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山田一晶

1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。

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