豊橋市内で始まった「ええじゃないか とよはし映画祭」は2日目の3日、10作品が穂の国とよはし芸術劇場プラットなど3会場で上映された。ゲストのトークも見どころで、ドラマ「北の国から」で知られる映画監督・杉田成道さん、女優・松井玲奈さんの豊橋出身の2人もそろって登場し、ともに関わった作品について話した。
作品は、杉田さんが手掛けた最新作の時代劇「小さな橋で」。出演した松井さんは「杉田さんと一緒にできてうれしかった。すごく元気でいらして」と感想を話し、「子どもの成長物語。音楽の使われ方が(自分が抱いていた)時代劇の印象と違い、それが各シーンを盛り上げた」と言うと、杉田さんは「今回は自分で選曲。選んだ基準はないですが」と会場の笑いを誘った。
杉田さんは「まずオーラ」と子役のオーディションで審査するポイントや、ラブシーンのエピソードなども披露した。
今後、やってみたい役について、松井さんは「時代劇には興味があったが、今回すてきだったから、また出たい」。杉田さんは「時代劇を応援してください。大河ドラマは歴史劇で、時代劇はこれからなくなってしまう。支えるのはお客さん。若い人に伝承するように支えていただければ」と観客に呼び掛けた。
この日は、名古屋市を舞台に弓道部に明け暮れる女子高校生たちの青春映画「アイコ十六歳」も開発ビルを会場に上映され、製作した大手芸能事務所アミューズ会長・大里洋吉さんと出演した女優・松下由樹さんのトークも観客に好評だった。
ともに豊橋は初めてと言い、初のトークショーにもなった大里さんは35年前の「アイコ」上映に目を潤ませながら登壇。全国12万7000人のオーディションの様子などを語り、「素人の子を集めたアマチュア映画のようだったが、改めて見て自分で言うのなんだが、色あせていない」と笑った。
デビュー作となった名古屋市出身の松下さんは「当時、15歳の中学3年生だった。『用意、スタート』『カット』。あの時の感覚、感動が今も残っている」と胸の内を明かした。
実行委員会関係者は「ゲストのトークも魅力の一つ」と話し、4日に閉幕を迎える映画祭への多くの来場を呼び掛けている。
(中村晋也)
「アイコ十六歳」の上映に感激した大里さん=開発ビルで
女優人生の原点になった作品について話す松下さん=同