「物流業者と災害協定を」豊橋中LCの近藤会長
14日、石川県輪島市に支援物資を運んだ豊橋中ライオンズクラブの近藤資浩会長と豊永毅幹事に同行した。
2人は豊橋市の9ライオンズクラブが集めた支援物資や義援金を持ち、午前2時に出発した。6時間がかりの行程だ。
被災地に近づくにつれ、車が大きく何度も揺れた。積み込んだ物資で重くなっており、サスペンションが頻繁に金属音を上げる。道路が隆起したり沈下したりしているからで、当時の揺れの激しさを物語る。
近藤会長の被災地訪問は元日の発災以来、7回目。避難所の小学校2階の体育館に物資を運び込んだ。「発災直後、4㌧トラックで物資を積んできました。約40人の自衛隊員が必死になって手作業で荷下ろしを手伝ってくれたが3時間かかった。普段の私たちの仕事の感覚なら10分で終わる」と指摘した。構造的な効率の悪さがあるという。
田原市に本社のある運送会社「藤通」の社長でもある近藤会長。物資輸送のプロだ。近藤会長によると通常、農産物や宅配便など大量の荷物を搬出入する倉庫は、出入り口が大きい。人が荷物を持って階段を上がることはなく、床はフラットだ。動線は整備され、荷を下ろすフォークリフトがあり、搬出を前提に規則的に荷物を積み上げていくという。
近藤会長は、出荷場などが効率的に配置されている農協の倉庫を借り受ける協定などを行政が結べれば、支援物資の配給を巡って能登半島が抱える多くの問題が解決できると指摘する。
そのうえで「行政は物を運び保管するプロと連携しない手はない。効率的に保管し、どんな荷物が、どこにどれくらいあるかを把握するためのデジタルタグ(宅配便で荷物の状況をスマートフォンで閲覧できる仕組み)をつければ、避難所などからの情報に応じてリアルタイムでの配給が今すぐにでもできるのに、能登半島ではそれができていない」ともどかしさを訴えた。
30年以内に70%以上の確率で起きるとされている南海トラフ地震。行政が民間企業と連携し、有事にあたる具体的な準備を、平時の今にこそ進めなければいけないのは言うまでもない。
【本紙客員編集委員・関健一郎】
避難所に飲料水などの支援物資を運び込んだ近藤会長。左は輪島市職員