【連載】「剣理人倫 我外皆師」〈40〉「何事も誠実に 忍耐力をもって」

2025/05/10 00:00(公開)

 今週末まで連休だった方もいます。毎回のことですが空港や駅では雑踏の中、少しの寂しさと心地よい疲労感のある充実した顔が見られます。

 

 世の中はトランプ旋風に振り回され多岐にわたり悪影響が出ています。大統領就任後の今春は気のせいか嵐のように風が強く感じられ、猫のひたいほどの我が家の庭も落ち葉が多いです。私は関税問題も朝令暮改でいずれ落ち着くのではと考えます。米国の自動車産業は部品の多くを品質の良い日本や人件費の安い中国に委託して、部品を組み立てる工場を持たないファブレス産業です。だから関税を上げることで米国車も値上がりします。

 

 江戸時代に結んだ不平等条約の関税自主権を回復して、日米で関税条約を結んだのが114年前。その後貿易をめぐる日米協議は常態化していますし、日本の自動車産業はいつも標的になっています。その都度交渉担当者は知恵を絞り状況を鑑みて、その時その場で最善策を講じてきました。

 

 記憶に残る30年前、当時の橋本龍太郎通商産業大臣とマイケル・カンター米国通商代表の会談は今でも語り草となっています。カンター代表が剣道有段者である橋本大臣に竹刀をプレゼントし、写真のように喉元へつけるパフォーマンスは話題になりましたね。カンター代表はタフネゴシエーターで交渉は難航しましたが、最後は双方合意し共同発表で終えました。

 

 両氏はそれぞれ自国のおもいを背負い、誠実にそして忍耐力をもって取り組んだ経緯は、政治家や私のような剣道関係者だけでなく日本中が熱くなりました。

 

 その後橋本氏は内閣総理大臣に任命され、全日本学生剣道連盟の会長も務められました。後輩の試合で応援に行った際、日本武道館でよくお見かけしました。

 

 橋本さんと一緒に稽古をした事がある慶応の友人に聞くと、授業や就職のことで質問すると「何でも剣道と一緒で忍耐だよ」という返答が多かったそうです。ポマードが似合う熱い政治家がいたら今の関税問題をどう対処するのだろうかと素振りをしながら思います。

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