東三河エリアで地域活性化に取り組む学生が増えている。今回紹介するのは、豊橋技術科学大学に通いながら「謎解きクリエーター」として活動する上田陸人さん(22)。脳に関する研究に携わる傍ら、地域のイベントや企業向けにオーダーメードの謎解きを企画し、「謎解き」でその魅力を伝える取り組みを進めている。
上田さんが興味を持ったきっかけは中学生の頃に見たテレビ番組。「ある一つの問題の美しさに感動したんです」と振り返る。その後、自ら謎を作り始めるようになり「世界に隠された、美しい偶然を問題にできるのが謎解きづくりの魅力」と感じるようになった。
大学進学後、転機となったのは学生向けビジネスコンテスト「火-Okoshi」への参加だ。アイデアを形にする過程で社会人や同世代の学生たちと何度も議論を重ね、「謎解き」という趣味を事業として展開できるかもしれない、と大きく背中を押された。「コンテストの結果は振るわず悔しい思いもしましたが、『これから何をするかが大事』という仲間の言葉に奮起しました」。そのまま帰ろうと思ったバーベキューの場で周囲にアプローチし、そこで得た縁が現在の活動の一端となっている。
さらに、「emCAMPUS STUDIO」のプログラムで念願のリアル脱出ゲームを開催。コンセプトからストーリー、小道具作りに至るまで試行錯誤を重ねながらイベントを完成させた経験は、「一人では難しいと思い込んでいた壁を乗り越えられた」大きな自信に。今はサークルの新入生歓迎会で自作のレクリエーションを披露し、「面白い」と思って集まってくれた仲間たちと新たな作品づくりに挑戦中だ。
謎解きの最大の難所は、問題の難易度調整だという。「参加者の年代や知識量によって、ちょうど良い手応えをつくるのは本当に難しい」。それでも試作品を何度も解いてもらい、意見を聴き、微調整するプロセスにこそクリエーティビティーが生まれる。そうして完成した謎が、初めて挑戦した人に「楽しかった!」と言われる瞬間が最高の報酬だ。
「謎解きを通じて、多様な人とのコミュニケーションが生まれる。その場の熱気や一体感を感じたらもうやめられない」。上田さんは、今後は大学祭などでも本格的な脱出ゲームを主催し、さらに地域の活性化へとつなげていく計画だ。「自分が感じた『ひらめきの感動』を、一人でも多くの人に体験してもらいたい」との思いは、東三河を舞台にますます広がっていきそうだ。
うえだ・りくと
豊橋技術科学大学大学院 電気・電子情報工学専攻1年。「火-Okoshi」3期生。謎解きクリエイター「なぞわし」として活動中。
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Lirem創業者。2000年1月11日生まれ。山口県宇部市出身。2020年3月、宇部工業高等専門学校を卒業、同年4月、豊橋技術科学大学3年で編入、在学中の2021年10月にLiremを設立して代表取締役に就任。現在は起業家支援事業や事業会社のイノベーション促進に向けた研修プログラムを提供する。「火―Okoshi」も運営する。
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