日本や海外で小中学校を卒業していない人らの学ぶ場として「県立とよはし夜間中学校」が開校して1カ月がたった。4月7日の入学式では期待に胸膨らませ、年齢や育った教育環境も大きく異なる1期生が学校生活を始めた。大半は移住した外国人だ。生徒が慣れない日本語に戸惑う一方、学校側も学習進度など個人差を考慮した手作りの授業に奮闘する。
国内外で小中学校を修了していない人や教育を十分受けられず卒業した人らに、学び直す場として県立では初の夜間中学として開校した。校舎は県立豊橋工科高校の敷地内。初年度入学者22人のうち、3人が中学課程、19人が習熟度で分けられた日本語コースに学ぶ。
学校生活は午後5時からの給食(希望者のみ)で始まる。始業のホームルームを経て各40分間の授業が4時限あり、終業のホームルームを終えるのは午後9時だ。
義務教育のため、全日制学校と同じくタブレット端末を使って進める授業もある。異なるのは出身国の教育環境や言語、学習歴や進度などに個人差がある点だ。教員は教科書に沿った「マスプロ」形式ではなく、個々の状況に応じて個別指導に近い形で授業を進めている。
ブラジル出身のウエムラマサオさん(49)は日本語コース2年に入学した。母国では高校まで通い、今年で日本へ移住して30年になる。
「日本の歴史や文化を深く知りたかった。同居する2人の子を正しい社会人に育てるのにも役立てたい」という。
勤務先では危険物を取り扱うため、今後はより高度な資格取得とキャリア形成も踏まえて学び直そうと考えた。
中学1年コースで学ぶミタケ・ライサ・ユカリさん(19)はブラジルの高卒資格を持つが、志望する看護学校進学を目指して入学。ハローワークの日本語講座でも語学力を磨いた。現在は個別指導に近い環境で学んでいる。ミタケさんは「授業では丁寧に教えてくれるので、独学より正しい知識が身に付く」と喜ぶ。
授業は教員が独自に作ったプリントや教材を中心に進めるという。日本人が大半の全日制学校と違い、出身国や教育環境で生徒の理解度や知識量は異なる。試行錯誤が続く中、授業は手作り感にあふれている。
白井泉副校長は「同じ環境で学んだ既存の中学とは違い、教員も生徒に合った指導法を模索している」という。
今後は学校行事の充実も図る。夜間中学らしく豊橋総合動植物公園の夏恒例「ナイトZOO」を遠足や校外授業にする計画もある。文化祭は同じ敷地内の豊橋工科高と連携したい考えだ。
豊橋市内の外国人市民は今年3月末で2万1836人。ここ数年は約1000人増で推移している。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
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