2014年に著書「豊橋妖怪百物語」を出版した豊橋市の内浦有美さん(46)らが、「劇団ばったり堂」を立ち上げた。3月下旬には、同市駅前大通1の「豊橋市まちなか図書館」2階中央ステップで、著書を題材にした初の演劇公演を披露した。集まった約70人を東三河の伝承の世界へいざなった。
劇団は、東三河の民話を広く伝えたいと、豊橋芸術劇場「プラット」の市民演劇プロジェクトなどを通じて知り合った有志で昨年12月に結成された。1月から約3カ月間、稽古を重ねてきた。劇場ではない図書館という限られたスペースでの公演に向け、音響や演出の見せ方にも工夫を凝らし、本番に臨んだ。
劇には妖怪にふんした演者9人が登場した。観客への問いかけから始まる独自の演出で幕を開け、前半は「般若坂の化け猫」が登場した。中盤には、多米の滝ノ谷に住み「ケケケ」と笑ういたずら好きの「笑河童(わらいがっぱ)」や、西郷校区の本宮山から下りてきては老婆に化けて子供を狙う「山姥(やまんば)」などの妖怪話が次々と展開された。
後半は、三河湾沿岸に伝わる火の玉の神「ごひん様」が登場した。劇中では、ごひん様が嫌がる履物やおならなど、臭い物で追い払う魔よけの描写も盛り込まれた。威風堂々と名乗るごひん様を観客が誰も知らず、河童が「知られてないじゃん」と突っ込む場面では、会場に大きな笑いが起きた。最後はごひん様が「人間ども、お前たちが伝えていくんじゃぞ」と締めくくると、客席からは温かい拍手が送られた。
内浦さんは「普段劇場に足を運ばない層にも届ける手段として意義がある。語りは重要だが、伝承が失われつつある時代、演劇という形で親子らで楽しく物語を覚え、友達に伝えたくなる入り口になればうれしい」と話した。今後も出前授業や講演会などで、劇を披露したい考えだ。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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