名鉄は15日、中長期の経営戦略に関する説明資料を公表し、白紙見直しとなっていた名古屋駅地区の再開発計画について、投資規模の縮小を前提に検討を進めている状況を明らかにした。高崎裕樹社長は今年度中に新たな方向性を示すと述べた。
再開発を巡っては、2017年に発表された当初計画では、3棟の高層ビルを上空で横につなぐ巨大な「壁ビル」を建設し、リニア中央新幹線開業に合わせた27年の完成を目指していた。しかし、20年に新型コロナウイルスの影響で鉄道事業の収益が落ち込んだことから計画は延期を余儀なくされ、25年3月には地上31階と29階の超高層ビル2棟を建設する総事業費約8880億円の新計画へと改められた。この時点では1期工事を33年度に、2期工事を40年代前半に終える予定だった。だが、近年の建設資材高騰や入札不調に伴う社会情勢の急激な変化を受け、同社は昨年12月にスケジュールを再び白紙化し、計画の再検証に着手していた。
今回の発表によると、同社は公共交通の利便性向上や魅力ある「まちづくり」「地域づくり」といった基本姿勢は変えないものの、事業の実現性や財務健全性を踏まえて難易度やリスクを下げ、投資規模を縮小することを前提に検討を進める方針だ。これに合わせて、新たな外部パートナーの導入も並行して検討していくという。
同社は名駅再開発に向けて、資本効率の向上と財務体質の強化を加速させる方針。保有資産の流動化を進め、24年度から30年度までの期間に不動産の外部売却などで1300億円、政策保有株式の売却で600億円の資金を確保する計画を掲げた。
事業ポートフォリオの見直しも徹底し、従来の7セグメントから5セグメントへ再編する。新たに「航空・情報・技術サービス事業」を新設、さらなる収益成長を図る一方、資産効率の低い低採算事業の早期再編を見極める一環として、運送事業からの撤退を今月11日に公表した。
今年度の業績予想は、営業利益450億円と目標の500億円には届かないものの、計画的な資産流動化や設備投資のコントロールにより、重視する経営指標である自己資本利益率(ROE)は8・0%と目標水準の達成が見込まれる。
併せて株主還元の拡充にも踏み出す。連結配当性向30%以上を維持した上で、還元の安定性を確保するために1株あたり年間60円の下限配当を今年度から新たに導入する。これにより、今年度の年間配当金は1株あたり60・0円を予想している。さらに、個人株主の長期保有を促進するため、長期保有株主を対象に株主優待乗車証を追加するなどの優待強化も実施する計画だ。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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