一般財団法人「トヨタ・モビリティ基金」(TMF)は11日、交通事故死傷者数ゼロを目指す「タテシナ会議」=ことば=の分科会活動の一環として、歩行中の死傷者が最も多い「7歳頃」の児童を守るプロジェクト「ナナまも」の新たな啓発活動を東海3県で開始した。入学シーズンを控えた31日までの期間中、名古屋駅前のシンボルの巨大マネキン「ナナちゃん人形」が、52年の歴史の中で初めて7歳の小学1年生の姿に変身し、社会全体で児童を交通事故から守るようメッセージを発信している。
会場周辺では、ナナちゃん人形とともに、ドアラやグランパスくんなど東海地方にゆかりのある7体の人気キャラクターが協力する形で、保護者や児童が交通安全について楽しく学べるエリアが設けられた。初日の11日には、ナナちゃん人形の足元に信号のない通学路を模した緑色の横断歩道が設置され、4月に小学生となる保育園児23人を対象に、県警交通安全教育チームによる交通安全教室も開かれた。
プロジェクトで重要な役割を担っているのが、豊橋技術科学大学だ。会場壁面に掲示され、小学校入学前の子どもと親に対して通学路の安全確認を促す「ナナちゃんと守る交通安全7つのルール」は、技科大の松尾幸二郎准教授が監修を務めている。県警交通死亡事故抑止対策アドバイザーも兼任する松尾准教授は、日本が7歳という幼い頃から子ども単独での外出や移動を始めることができる貴重な文化を持つ国であると指摘する。松尾准教授によれば、この文化を継続するためには安全確保が不可欠であり、子どもが巻き込まれる交通事故は、下校後や休日であっても通学路上で頻発しているという。そのため、ドライバーは休日や通学時間帯以外でも通学路であることを強く認識し、通学路の看板を見かけたら子どもが通る可能性が高いと注意して走行することが非常に重要だと警鐘を鳴らしている。
さらに、7歳頃は危険を察知して安全に配慮しながら移動する能力がまだ十分に備わっていない時期であることから、周囲の大人や地域社会、事業者、行政など、多様な主体が子どもの安全を確保するための具体的な行動を取ることが肝要であると松尾准教授は強調している。
今後の展開として、県内の地方自治体や民間企業の協力を得て、ご当地キャラクターを通じたSNSでの情報発信が進められる。また、4月29日~5月6日は、名古屋市西区の「イオンモールナゴヤノリタケガーデン」で、プロジェクションマッピングを活用し、道路上に潜む危険を疑似体験できる啓発活動も実施される予定だ。
毎年、交通安全に祈りをささげる蓼科山聖光寺(長野県茅野市)の夏季大祭で自動車や関係する業界のトップ役員が一堂に会することを受け、2019年に、交通事故死傷者ゼロの実現に向けて思いを共有し、協働するための議論の場として本会議が初開催された。23年7月の第2回開催時には、交通安全への想いと交通事故死傷者ゼロに向けた取り組みをさらに実効性のある活動にしていくための5「分科会」を発足させた。分科会では、児童や高齢者など交通弱者への支援や自転車や二輪車が絡む事故、海外での事故などの課題に焦点を当て活動する。発足以来、「交通事故死傷者ゼロの実現時期を少しでも早めること」を目標に掲げ、現在までに45の企業から約200人が参画し、クルマ・人・交通インフラの三側面から、政府・自治体や関係機関とも連携を図り、活動を推進している。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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