人件費や治療に使う備品などの価格上昇に、診療報酬の上昇が追いつかず、各地の公立病院の赤字額が拡大している。県内では碧南市民病院が一部診療科の停止に追い込まれるなど、厳しい状況になっている。東三河で中規模人口の豊川市民病院でも赤字が増えている。
豊川市民病院の赤字額は2022年度は2000万円だったが、23年度は1億5000万円に増え、24年度は10億2000万円と大きく拡大した。25年度の決算はまとまっていないが、3月議会に提出された資料によると、17億1000万円の赤字を見込む。
背景にあるのは、人件費や治療に使う医療用品の高騰だ。人件費でみると、22年度は88億2000万円、23年度は92億7000万円、24年度は98億7000万円と、この間だけみても10億円、率にして10%以上も増えた。医療用品などの材料費も22年度は43億円、23年度は46億円、24年度は49億1000万円と着実に増加する。人件費と材料費の計で16億円増加した。この他にも委託費など、さまざまな支出が増えているという。
一方で病院の収益は、22年度は182億7000万円だったが、24年度は192億1000万円となり、2年で約10億円増えているものの、人件費や材料費の上昇に追いついていない。診療報酬の基準に合わせて収益を増やす努力はしているものの限界があるという。
豊川市では今年度予算で病院への繰り出し金26億1000万円を計上した。病院を維持するために、市が一般会計の予算から支出する額だ。当初予算ベースでみると、前年度は20億5000万円、前々年度19億7000万円と徐々に増えている。一般的には赤字額が膨らむと増える傾向にある。
国は今年6月の診療報酬改定で、病院の収益が増えるように配慮する。ただし、赤字をすべてなくすまでには至らない可能性が高く、厳しい状況が続くとみられる。豊川市民病院の3月議会の資料では、26年度は11億円程度の赤字とみている。
豊川市では市の支出が増えたとしても、市民病院の現在の体制を維持し、市民の命を守る方針に変わりはない。多くの自治体でも同じだ。国も手をこまねいているわけではなく、2年に1度の診療報酬改定で、病院の収入を増やす方向だ。ただし、国の予算には限りがあり、赤字解消できるかは未知数だ。
関係者は「市内に新たにできる保健センターの建設費は約38億円。今年度の市民病院の繰り出し金は26億円と、決して小さい額ではない」とする一方で「国の財政も厳しい。今後は地域の市民病院などの救急病院を支えるために、ある程度の市町村負担をしていく覚悟が必要だと感じる」と話した。
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1973年生まれ、豊川市出身。建設業界に勤務後、96年に入社。2022年から豊川市を担当している。趣味は美術館巡り。ポッドキャストでラジオを聞くのも好きで、さまざまな番組を楽しんでいる。
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