【連載】アジアの街角から〈10〉ドローンが変える上海の一角|上海産業情報センター 鈴木健大

2026/05/18 00:00(公開)
美団のドローン受け取りロッカー。五角場・合生匯から飛来した配送品を受け取れる(上海市楊浦区で4月、筆者撮影)
美団のドローン受け取りロッカー。五角場・合生匯から飛来した配送品を受け取れる(上海市楊浦区で4月、筆者撮影)

 上海市楊浦区の複合オフィスエリア「互聯宝地」の一角に、フードデリバリー大手「美団(Meituan)」の受け取りロッカーが置かれている。アプリでこのロッカーを配送先に指定すると、約4㌔離れた五角場の大型商業施設「合生匯」から、軽食やコーヒーがドローンで届く。控江路の上空で高架をまたぐ、上海市内で初の「高架横断型」配送ルートだ。2024年10月の運用開始初日には159件を配送し、オフィスで働く人々の昼の新たな選択肢になった。

 美団がドローン配送の探索を始めたのは2017年。2021年には上海市金山区と連携し、全国初となる都市低空物流の運営モデルセンターの整備に動き出した。上海では2023年12月に中心市街地初のルートが楊浦区で開通して以来、公園、オフィスエリア、大学へと展開を広げている。同社の最新数字(2025年12月)では、ドローン配送は国内外で65ルート、累計74万件超に達した。同月10日には仁済医院の各院区を結ぶ医療サンプル輸送ルートも始まり、地上で45分かかる区間を23分に短縮している。

 この動きを後押しするのが「低空経済」政策だ。低い空域を物流や都市交通、救援に活用する新産業を国家戦略として育てる構想で、2024年の政府活動報告に初めて明記された。同年11月の物流コスト削減行動計画では、2027年までに社会物流総費用のGDP比を13・5%前後に下げる目標のもと、ドローン活用の新モデルが盛り込まれた。上海市も2026年2月、民間ドローンの飛行安全管理に関する暫定規則を施行している。

 もちろん課題は残る。悪天候や空域管制時は地上配送で補う必要があり、重量制限から配送できる商品も軽食やコーヒーなどに限られる。それでも、オフィス街のロッカー前で空を見上げる会社員の姿は、楊浦区では珍しい光景ではなくなりつつある。地上ではシェア自転車、空ではドローン。上海の都市交通と物流は今、地面と上空の両面で新しい姿を描き始めている。

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