市長選を自治を考える時に

2016/11/01 00:00(公開)
霜月11月。豊橋市長選の月です。東三河の中心都市をどうする、人口減少の荒波に洗われる東三河のグランドデザインは―。こんな個々の政策課題だけでなく、地方自治を考える機会にしたいものです。

 市長選への関心は、今ひとつのようです。選挙の構図がそうさせるのでしょうか。投票率が気がかりです。
 私は9月の論説で過去3回の豊橋市長選と市議選、また衆院選の投票率(豊橋市内分)を振り返りながら、杉原泰雄・一橋大学名誉教授の言説を紹介しました。
 杉原さんはこう主張しています。
 「中央政府の政治こそが政治の中心的問題で、地方自治は重要度の低いものと考えられてきたようです。国政選挙とくらべて、地方公共団体の首長や議員の選挙における投票率の低さは、それを示している」と。
 地方自治が大切なのです。

 「人民の人民による人民のための政治」。リンカーン米大統領のゲティスバーグ演説の有名な一節です。
 村林守・三重中京大名誉教授はこの演説を引きながら、民主主義が自分たちのことは自分たちで決めるという制度なら、地域的なことがらは地域で決めなければ自分たちで決めたことにならない。地方自治が認められていない政治制度は民主主義とはいえない―としてこう説きます。
 「自治体は、必要な行政サービスを提供するという役割に加えて、民主的な議論をとおして地域の方向を決めるという役割があるのです(中略)健全な地方自治が育ってこそ、国の民主主義も成り立つ」と。
 リンカー演説は民主主義や国民主権の原理とともに地方版である「住民自治」の原則を訴えたものと解釈できるわけです。

 平日午後の民放の報道・情報番組は連日のように築地市場の豊洲移転や2020年の東京五輪の費用問題など小池都政の動きを報じています。視聴率は高率だと言います。
 関心が高いとはいえ、「東京プロブレム」なのではないでしょうか。もちろん重要な課題であります。しかし、私たちが考えなくてはならないのは「地方プロブレム」なのです。
 「地方プロブレムにどう対処するか」の展望を示すことが欠かせません。課題を解くカギは「地方自治」にあります。

 地方自治には中央の統一権力の強大化をおさえて、権力を地方に分散させるという重要な意義があります。これが「地方自治は民主主義の学校」といわれる理由です。
 個別の政策課題を報じ、自治に関する自由な討議、論戦の場を提供することが、地方メディアに求められていると思っています。「これが私の生きる道」と確信しています。
(代表取締役 本多 亮)
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