【夏の甲子園’25】「マイハート」に込めた思いとは 豊橋中央校歌の制作秘話

2025/08/02 00:00(公開)
優勝し、全力で校歌を歌う豊橋中央の選手

フォークロック調の爽やかさがSNSで話題に

 

 高校野球愛知大会で何度も流れた豊橋中央高校校歌「星の旅人」。フォークロック調の爽やかな楽曲で、一般的な校歌とは一味違う歌詞、球児らが体を大きく動かして歌う姿がSNSなどで大きな話題を集めた。

 

 作詞作曲は、豊橋市在住のかねとうかずさん(校歌の表記は金藤カズ)、豊橋市出身で犬山市在住の富安秀行さんだ。

 

 1995年開校の豊橋市立つつじが丘小学校の校歌は、かねとうさんが作詞作曲、富安さんがプロデュースした。翌年、豊橋中央高校が共学になる際に、再びコンビを組んだ。

 

 「当時の校長から『今までにない斬新な校歌を』と依頼が来た」と富安さん。かねとうさんは校長が好きなサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」のような曲を、との要望に応えた。

 

 歌詞は「1番はふるさと愛、2番は思春期の迷いや悩み、魂の成長を描いた」と言う。そして最後を締める「マイハート」。「学校愛や友情、絆を表す『マイハート』を絶対使いたかった。反対を承知で、最初はマイハートを含め半分英語の歌詞にした」と笑う。

 

 校名も入っていない歌詞は職員会議で反対された。かねとうさんは「歌詞は直すが『マイハート』は入れて。マイハートで終わる校歌は他にない」と掛け合った。97年度の卒業式までに突貫作業で作ったそうだ。

 

 曲中の転調も大きな特徴だ。「転調する校歌は珍しい」と言う。「大会では校歌は1番しか流れないが2番が良い。次に前進する感じで転調する」と富安さん。

 

 かねとうさんは愛知大会は、準決勝から観戦を始めた。「試合で流れる曲はオペラのような歌い方だが、選手たちの歌が自分のイメージ。迫力ある歌いぶりに感動した。チームのおかげで、約30年前の玉手箱を開けた気分」と感慨深げだ。

 

 「曲が思い出の一つとして残るのがうれしい」と富安さん。かねとうさんは「『マイハート』を使って本当に良かった。人と人との信頼関係が希薄になりつつある今、熱いハートで仲間や家族を大切にしてほしい」とエールを送る。

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田中博子

 愛知県豊橋市生まれ。大学卒業後、校閲記者として入社。1年後に報道記者に転身した。2020年から報道部長。芸術、福祉、経済・奉仕団体などを担当する。趣味は、かなりジャンルに偏りのある読書と音楽鑑賞。思考のそっくりな一人娘と趣味を共有している。

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