渥美魚市場、観光土産を「あと配」で 帰宅後に新鮮なまま受け取る

2025/08/19 00:00(公開)
清田社長(左から2人目)や導入に関わった蒲郡信金職員と地元カンパニーの担当者(いずれも提供)

 田原市伊良湖町の「渥美魚市場」は、観光客が帰宅後に土産を受け取れるサービス「あと配土産」を導入した。提供は長野県上田市のスタートアップ企業「地元カンパニー」。先進的な取り組みとして、観光客の利便性と市場の集客力の向上を狙う。導入のきっかけは、蒲郡信用金庫の営業担当者による課題発見だった。

 

 渥美魚市場は、伊良湖近海で水揚げされた鮮魚や加工品を扱う地方卸売市場。場内の「いちば食堂」では旬の海鮮料理を提供し、隣接する土産物コーナーでは地元特産品を販売する。水槽で泳ぐ伊勢エビは観光客の目を引くが、持ち帰りの負担や鮮度保持の問題から購入を断念するケースが目立っていた。

 

 「あと配土産」は、旅先で選んだ土産をその場で注文し、後日自宅や贈答先に配送する。これにより、観光客は荷物を気にせず市場巡りを楽しみ、帰宅後には新鮮な伊勢エビや特産品を味わえる。贈答用としても活用でき、旅行体験を帰宅後まで広げられるのが魅力となる。箱の中に申し込み用紙を入れることができ、もらった人は配達日の指定ができる。また生きたままの送付も可能という。

 

 蒲郡信金渥美支店の担当者が定例訪問で販売課題を聞き取り、本部のソリューション推進部の職員が、地元カンパニーのサービスを提案した。配送用箱の、のしのデザインについても、同部の女性職員が作成を支援。伊勢エビのイラストに「ATSUMIUOSHIJO」の文字をあしらい、受け取った人に「どこから届いたか」が一目でわかるよう工夫した。市場ではこれまでも、観光イベントや地元食材フェア、SNS発信など地域と観光をつなぐ先進的な試みをしており、今回もその延長線上にある新たな顧客体験づくりの一環だ。

 

 清田幸広社長は「観光客の利便性向上と、渥美の海の幸をより多くの人に届けられるようになる」と期待を寄せる。地元カンパニーの担当者は「伊勢エビをはじめとする地域の魅力を、旅後も楽しんでいただけるよう全力でサポートしたい」と語った。

蒲郡信金の職員がデザインを支援した「あと配土産」の箱
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竹下貴信

1973年生まれ、豊川市出身。建設業界に勤務後、96年に入社。2022年から豊川市を担当している。趣味は美術館巡り。ポッドキャストでラジオを聞くのも好きで、さまざまな番組を楽しんでいる。

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