地域のギャラリー喫茶の先駆けで、田原市神戸町の画廊喫茶「神戸館」が、28日に閉店することとなった。店主の長澤孝治さん(89)によると高齢や体調不良が理由。40年間を「多くの人と話ができて幸せだった」と振り返る。
高校卒業後に名古屋の繊維会社に勤めた。約30年間の会社員生活で営業マンとして全国各地へ赴いた。北海道帯広市を最後に、妻紀美代さん(86)とふるさとへ戻って1985年に神戸館を開業した。まだ渥美線の神戸駅はなく、バブル景気の宅地開発も先のことだった。
開店当初、来店客の一人から「店で絵を飾らせてほしい」と頼まれた。「田原絵画クラブ」の創立メンバーだった。
ギャラリーとして絵を飾る喫茶店が珍しかった時代。長澤さんは「作品を見られることで創作意欲も高まる。見る人も描く人もレベルアップできる」と話す。
自身も絵画など美術愛好者の一人だ。個人のコレクションを飾り、安価で販売するチャリティー展も開店当初に企画した。福祉施設や児童養護施設への寄付に続き、15年前から市内で障害者施設を営むNPO「うたた」の支援に充てた。
40年間の思い出について「人のつながりを実感できた。皆さんのおかげで続けられた」と感謝した。閉店後も建物や店内の備品は残し、常連客ら知人らとの談話室に利用する。長澤さんは「引退するが自宅にこもるわけではない。気軽に立ち寄ってほしい」と元気そうに話す。
19日まで休業。20日から店を再開し、残る営業日は21日、23~24日、27~28日。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
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