豊橋市の「ロワジールホテル豊橋」で先月、国内外の愛好家が集う国内最大級のコンベンション「ジャパン・ミーティング・オブ・ファーリーズ(JMoF)」が開かれた。オオカミやキツネ、ドラゴンといった多彩な動物をモチーフにした着ぐるみ姿の「ケモノ」たちが手を振ったり、ポーズを決めたりしてロビーを行進していた。
「ケモノ(Furry)」とは、欧米のファンコンベンションの流れをくむ趣味のジャンルを指す。既存作品の二次創作のほか、自らデザインしたオリジナルキャラクターを、イラストや漫画、着ぐるみなどで表現するのが特徴だ。
2010年代以降、北米や西欧からアジア、中南米へと世界的な広がりを見せており、国内では2013年から毎年開かれるJMoFが最大級の規模を誇る。名称はキャラクターの「モフモフ」とした音から名付けられた。
会場には自作のイラスト集やぬいぐるみ、缶バッジなどが並び、多くの愛好家が品定めをしていた。今回は海外ファンを含め総勢2500人が来場し、国境を越えた交流が広がっていた。
メインのパレードで参加者がまとう着ぐるみは、自作や海外専門工房への発注品などさまざまだ。価格は数万円から、本格的なものになると数十万円に達することも珍しくない。「ヘッド」「ハンドパウ(手)」などパーツごとに作り込むスタイルもあり、毛並みの質感や耳の形状など、細部にまで情熱が注がれている。
一方で、着ぐるみを着ない「見る側」の参加者も多い。12年前から参加する埼玉県の男性は「自分のアイデンティティーを自由に発信でき、周囲が受け止めてくれる。誰にでもフィットする場所」と魅力を語る。
運営を統括するのは、実行委員会代表の「まんぐ」こと猪口智広さん(35)。大正大学で人と動物の関係などを研究する専門家だ。大学時代の欧州旅行で偶然訪れたケモノイベントに衝撃を受け、「こんな世界もあるのだな」と活動にのめり込んだ。第2回からスタッフに加わり「活動に深い理解を示してくれたホテル支配人の存在と、3大都市圏からの利便性」を理由に豊橋での開催を続けてきた。
参加者は当初の100人から急増した。転機は新型コロナウイルス禍だった。リアルな活動が制限される中、メタバース空間での交流が活発化した。「デジタル空間でのつながりが、アフターコロナのリアルへの足がかりになった。地道な参加への呼び掛けも功を奏した」と猪口さんは分析する。
YouTubeでの説明会などで運営体制を拡充。今年はSNS班や運営班など数十人のボランティアが運営をサポートした。
地域に根差したイベントづくりも大切にしている。参加費の一部を豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)へ寄付し、今年は約523万円が集まった。地元企業とのコラボレーションも活発で、豊橋市中浜町の「福井酒造」とのラベル酒企画や、同市南栄町の楽器店「シライミュージック」からの機材協力を得ている。「タクシーの運転手さんに『今年もやってるね』と声を掛けられる。参加者に大きな夢を見せられる場所でありたい」と猪口さんは話す。
次回は来年1月8~11日、常滑市の県国際展示場に場所を移す。猪口さんは「いつかまた豊橋で」と笑みを浮かべた。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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