東三河エリアで、大人顔負けの行動力を持つ10代が現れている。今回注目するのは、県立豊橋南高校2年の大場実茉莉さん(17)。自身が発起人となり、地元の田原市で「こどものまち」を実現させた彼女の挑戦を追った。
大場さんが代表を務める「たはらマーブルタウン」は、子どもだけの架空の都市だ。子どもたちは独自の通貨「マーブル」を使い、仕事、納税、選挙などを通じて社会の仕組みを擬似体験する。
この活動を始めるきっかけは、中学2年生の時にボランティアとして参加した他市のマーブルタウンでの経験だった。短期間でみるみる顔つきが変わっていく子どもたちの姿に感動すると同時に、大場さんの心に生まれたのは意外な感情だった。「なんで私が小学生の時に、このイベントに出会えなかったんだろう」
その強烈な「嫉妬」や「悔しさ」が原動力となった。「自分が参加できなかったのが悔しい。だったら地元で私がつくるしかない」。そう決意した大場さんは、高校1年生の夏、多くの大人の前で「開催します」と宣言し、退路を断った。
しかし、道のりは平坦ではなかった。特に苦労したのは資金集めと集客だ。「実績のない高校生の企画に、誰が協力してくれるのか」。不安の中で奔走したが、開催当日、不安げだった子どもたちが独自の工夫を凝らし、笑顔で帰っていく姿を見たとき、全ての苦労が報われたという。
回を重ねるごとに、大場さんの活動は進化している。同世代の仲間を運営に加え、田原市の特産である「花」を使った体験を取り入れるなど、地域色を強めた。
一方で、活動が広がるにつれて新たな葛藤も生まれた。「地域や教育に関わる中で、多くの大人から声を掛けてもらえるようになりました。ただ、濃い意見に触れすぎて、自分の大切にしていた軸が揺らぐこともあったんです」
飛び込むだけでなく、情報の取捨選択が必要だと気づいた今の彼女は、等身大の17歳として悩みながらも前を向いている。
将来の展望について聞くと、大場さんは目を輝かせた。「『場』が人間に及ぼす影響、環境デザインに興味があります。どんな仕掛けがあれば人は変われるのかを専門的に学びたい」
そして、自身が立ち上げたマーブルタウンについては、「田原といえばマーブルタウン」と言われるような地域に根付いた文化にしていきたいと語る。「私個人のプロジェクトで終わらせるのではなく、次世代に引き継ぎながら、その時々の色が加わって続いていく場所にしたいんです」
悔しさから始まった挑戦は今、地域の未来を育む「場」として、着実に根を張り始めている。
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今までの実績
たはらマーブルタウン発起人・実行委員長▽全国高校生マイプロジェクトアワード全国優秀賞▽変革祭~市長への挑戦状グランプリ/協賛企業賞▽愛知アクションアワード1期生▽火―Okoshiアワード4期生協賛企業賞▽こども・教育・地域をキーワードに活動
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Lirem創業者。2000年1月11日生まれ。山口県宇部市出身。2020年3月、宇部工業高等専門学校を卒業、同年4月、豊橋技術科学大学3年で編入、在学中の2021年10月にLiremを設立して代表取締役に就任。現在は起業家支援事業や事業会社のイノベーション促進に向けた研修プログラムを提供する。「火―Okoshi」も運営する。
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