第51回衆院選で、愛知15区(豊橋市、田原市)は全国289小選挙区の中でも唯一の珍しい構図であることをご存じだろうか。立候補者6人のうち5人が国会議員経験者という、極めて密度の高い「経験者密集区」となっているのだ。その割合は83%に達し、対する新人が1人という顔ぶれは、全国平均と比較しても類を見ない。
この背景には、前回の第50回衆院選の特殊な選出状況がある。1枠しかない小選挙区で自民前職が5連勝し、比例復活によってさらに2人の衆院議員が誕生していたことが要因だ。今回、自民前職、中道前職、ゆうこく連合前職の3人が「前職」として激突し、かつて同区で議席を持っていた維新元職と、他地区での経験を持つれいわ元職が加わった。ここに参政新人が挑む形となった。
全国を見渡すと、国会議員経験者が愛知15区より1人少ない4人が立候補している選挙区は、大阪13区(前職2、元職2。国会議員経験者率67%)しかない。そして国会議員経験者3人が立候補しているのは20選挙区ある。県内では1区、10区、16区がそうだ。
対照的に新人しか立候補していないのは神奈川2区だけになる。菅義偉元首相が引退し、5新人が激突している。その一方で、新人が立候補せず、前職同士か前職と元職が議席を争う選挙区(国会議員経験者率100%)は22と意外に多い。
また、自民と維新は「連立政権としての信を問う」形でありながら、愛知15区では自民前職と維新元職が議席を奪い合うという「競合的パートナーシップ」の下で選挙戦が展開されている。政権運営の維持という共通目的を持ちつつ、小選挙区の議席を巡っては一歩も引かないという構造だ。
愛知15区のように前職が3人もひしめく状態は、東海ブロックの比例定数の多さと、前回選挙での惜敗率の高さが救い上げを生んだ結果だ。今回の結果次第では、再び複数の比例復活者が生まれる可能性があり、この過密状態が次回以降も続くのか注目される。
なお、同じ15区を地盤とする候補者では、自民元職の山本左近氏(43)が比例東海ブロック単独候補として、名簿1位に登載されている。
投開票は8日。結果として、豊橋市と田原市からは何人の衆院議員が誕生するのだろうか。比例を含め、全当選者が確定するのは9日未明だ。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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