豊川市馬場町の国道151号沿いにある飲食店「東京庵豊川店」のシンボルである水車が故障し回転しなくなっている。この水車を豊橋市石巻本町の「ながら・加藤建築」の棟梁(とうりょう)、加藤泰久さん(58)が修復することになった。神社仏閣の修復にも携わるなど伝統建築の技術の継承と発展に尽くしていることが評価された。
1976年の開店に合わせ、そば粉をひくための水車小屋を造った。実際に水を流して水車を回している。何度も修理や水車の取り換えをしてきたが、これまでは遠方の業者が中心だった。地元にも技術がある加藤さんがいることを知り、発注した。
今回は古い水車を撤去して新造する。直径3・6㍍、幅35㌢。加藤さんは材料から手配して杉の丸太を購入し、製材して板にした。十分に自然乾燥させてから加工に入る。常に水がかかるため、腐りにくい木の中心部にある赤い部分のみ使う。木の乾燥具合を見て着工する。加藤さんは高い加工技術を持っており、2024年に「あいちの名工」に認定された。普段は住宅を建てているが、特殊な仕事にも対応できる技がある。
東京庵の戸倉信一郎社長は「店のシンボルだけでなく、まちの風景にもなっている水車。これで6台目になるが、これからも維持していく。不具合が出てもすぐに来てくれる地元の加藤さんに依頼できたのは心強い」と話す。
加藤さんは「既存の水車を調べたらネジで止めてある部分が多かった。現在の形は変えずに材料をホゾなどで組み合わせた構造にして長持ちするようにする。メンテナンスもしっかり対応していく」と話す。
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1973年生まれ、豊川市出身。建設業界に勤務後、96年に入社。2022年から豊川市を担当している。趣味は美術館巡り。ポッドキャストでラジオを聞くのも好きで、さまざまな番組を楽しんでいる。
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