田原に「ない」なら自分で作る 25歳起業家が全財産で挑む本格サウナ

2026/02/17 00:00(公開)
田原サウナを計画する田中さん=蔵王山展望台で
田原サウナを計画する田中さん=蔵王山展望台で

 田原市神戸町で、新たな本格サウナ施設「TAHARA SAUNA」の開設計画が進んでいる。同市出身の起業家、田中達朗さん(25)が「田原にない物をつくりたい」と立ち上げた。現在、クラウドファンディング(CF)を通じて資金の一部150万円を募っている。支援は今月末まで。

 

 起業の決定打となったのは2024年。田原市図書館での出来事だ。学習机のそばにある「あなたの声を聞かせてください!」コーナーには子どもたちが書いた付箋があふれていた。「スタバが欲しい」「街が暗い」。中でも田中さんの心を揺さぶったのは、「声を集めるなら実行してほしい」という切実な訴えだった。かつて自分もこの街で同じ閉塞感を感じていた。「この声に応える大人でありたい」。そう決意した瞬間、背中を押された。

 

 田中さんは野球に打ち込むスポーツ少年だったが、当時は「田原には何もない」と感じていた。バッティングセンターは豊橋まで行く必要があった。都会に憧れ大学進学で上京したが、待っていたのはカルチャーショックだった。都会の生活にストレスを感じる中で、地元にある「人の温もり」「穏やかな時間の流れ」という価値に、初めて気づかされたという。

 

 サウナとの出合いは高校時代。100カ所以上の施設を巡り、IT企業でのコンサルタント勤務を経て現在は名古屋の名門施設「サウナラボ」などで修業を積んでいる。

 

 田原市内には本格サウナ施設がほとんどない。「農業従事者やサーファー、地元の子どもたちなどさまざまな人々に必要とされる最高の施設を造れる」と考えた。

 

子どもたちのメッセージ
子どもたちのメッセージ

「甘い」と言われても諦めない 伊良湖温泉とサウナで街を元気に

 

 SNSでは「高すぎる」「事業計画が甘すぎる」厳しい批判も浴びた。地元の先輩起業家の前で涙を流したこともある。今春には自家用車を売却し、全財産を投資に回す。新施設では「美肌の湯」伊良湖温泉の湯を導入。国内では珍しいドーム型テントサウナにストーブを組み合わせるなど、異なるメーカーの設備を混在させ、熱の質の差を打ち出す戦略だ。

 

 立地は蔵王山を望む外気浴や市内で定時に流れるチャイムを聴きながらの入浴など、地域の日常と一体化した環境にこだわる。外装は、明治時代に建てられ、一昨年解体された実家の「梁(はり)」を再利用する。

 

 田中さんの理念は「田原市に、ないものをつくる」。多くのサウナは3000~5000円の価格帯が主流だが、利用料金は「子どもたちが日常的に通えるように」と1000~1500円に設定する予定。数年後には宿泊施設の展開も視野に入れる。「人生をささげる覚悟でチャレンジしている。田原で起業する若者が増える第一歩にしたい」と語った。

 

 返礼品は入浴券や地元モチーフの刺しゅうを施したサウナタオル、名称を掲出できるスポンサー枠、命名権などを用意している。詳細は特設サイトから。

続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。

北川壱暉

 1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。

最新記事

日付で探す

蒲郡信用金庫 虹の森 さわらび会 藤城建設 住まいLOVE不動産 光生会
東三河に特化した転職サポート ひとtoひと hadato 肌を知る。キレイが分かる。 豊橋法律事務所 ザ・スタイルディクショナリー 全国郷土紙連合 穂の国