豊川市出身の漫画家日高万里さんが、今年10月にデビュー30周年を迎えた。初の作品は「君をのせて」(1995年、白泉社)。97年、6人姉弟のそれぞれの恋を描く「世界でいちばん大嫌い」で人気を集めた。雑誌「花とゆめ」で連載を続けたが、2016年に指の炎症「弾発指」により2年間休載。現在は「マンガPark」で連載を続ける。漫画家人生を振り返ってもらった。
「思っていることをうまく相手に話せなくて、昔から絵を描くのも漫画を読むのも好きで、漫画なら思っていることをストーリーに組み込んで表現できると思った」と漫画家を志した理由を語る。
県立御津高校3年生の夏休みに「お城」を描き、「花とゆめ」の「第226回HMC努力賞」を受賞。95年には「ふたり」で「第26回BC賞」準入選に輝いた。翌年に「君をのせて」でデビューが決まった。「担当さんがついてネームを提出。デビューする雑誌が決まり、締め切りの連絡が担当さんから来て、漫画を描いて出す」という慌ただしい毎日を送った。
「母は『普通に就職して趣味で描けばいい』と言い続けたけれど、私にはそのつもりが全くなかった」と日高さん。短大在学中の2年間に連載を3本持ち、単行本を2冊出すなどした。卒業後すぐに初の長期連載となる「世界でいちばん大嫌い」が始まる。反対していた母も、その頃には「一番の理解者」になった。
「秋吉家シリーズ」は、数字の「一」から始まる兄弟の話を考えていたことから生まれた。仲がいい兄弟姉妹が昔から好きで、最初は全員男の7人兄弟だった構想が、曲折を経て現在の6人姉弟になったという。万の万葉から零の零まで、数字の桁が少なくなっていく命名も特徴的だ。
「20代までは若さと気力で休む間もなく隔週雑誌で漫画を描き続け、多い時は年4冊のコミックスが出ていました」。しかし「15周年を迎える頃には不眠症と胃痛を抱えつつ、だましだまし描き続けた結果、胃潰瘍で数カ月休載。20周年を迎える時には弾発指で数年休載」することになる。
この休載中は「途方に暮れる状態でした。今まで通りに描けない状況を受け入れられるまでに時間がかかりました。それでも治療しながら、できる範囲で仕事をじりじりと進めて全く作品が表に出ることのない数年を過ごしました。しんどかったです」と振り返る。
「読者のおかげで作家を続けられております。現在もこうしてペースを落としつつもまだ続けさせていただけている状況に、編集部にも読者にも感謝してもしきれません」と語る。
今後の目標は「とりあえず今の連載を最後まで描ききること」。「描いてみたいものはいろいろありますがゆるっと力の抜けた感じのほのぼのした話なんかもチャレンジしてみたいですね。でも今の連載後に描くものは決まっているのでいつか描けたらいいな」と今後も描き続ける。
■ひだか・ばんり
1976年5月31日、豊川市生まれ。「君をのせて」「世界でいちばん大嫌い」のほかに「ひつじの涙」「V・B・ローズ」「ベリーベリー」。また「世界でいちばん大嫌い」のスピンオフ「お気に召すまま?」(別冊花とゆめ)も。現在は「天使1/2方程式」を「マンガPark」で連載中。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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