県動物愛護センター東三河支所が1月、田原市内で1匹の雌の野良犬を捕獲した。市民が近く、「家族」に迎え入れようとしていた犬だった。捕まっていることを知った市民は引き渡すよう求めたが拒否された。その後、殺処分されたとみられる。野良犬の保護活動をしている「Revue動物愛護」代表の徳田恵子さんは「市民と行政の信頼関係を根底から損なう行為だ」と憤っている。
今年1月30日頃、毎日のように姿を見せていた雌犬がいなくなった。4年前から保護しようとしていたAさんが探したが見つからない。だが、Aさんら2人は東三河支所のサイトで、その犬の画像を発見した。捕獲された時に何かあったのか、写真の犬は左前脚が変な方向に曲がっていたという。
2人はすぐに東三河支所に問い合わせ、何年も保護に向けて努力してきたので引き渡すように求めたが拒否された。Aさんは取材に対し「『保護させてください』とお願いしたら『あなたの犬ですか』と聞かれた。正直に『今は私の犬ではないですが、家族にしたいです』と答えると、『あなたの犬でないなら駄目です』と断られた」と語った。引き渡せない理由について、職員は「狂犬で危険だから」と答えたという。「こちらが先に捕まえたのだから、渡せない」との発言もあったという。
愛護センターに捕獲された犬は、7日間の期間中に飼い主が現れなかった場合、誰かに引き渡せるかどうか、凶暴でないかどうかを調べるテストを受ける。その内容は、犬の気に障るようなことをしてかみつこうとするかどうかを見るというものだ。テストに合格できないと、通常は殺処分の対象となるという。
豊田市にある県動物愛護センター本所が田原市の犬の件を把握していた。ある職員は「同じことがないように、今後はより慎重な対応を考えていきたい」とコメントした。
Aさんによると、犬は2022年頃に現れた。いつも同じ場所にいて、人や車を見つめていたという。「優しい顔つきで、ほえたりかみついたりすることはなかった。近付くと逃げるけれど、少し後を付いてくることもあった。捨て犬かなと思っていた」と話した。すぐに町内でうわさになり、餌をやる人もいた。名前をつけて呼んでいたという。一方で、人をかんだりしないように、早く捕まえてほしいという人もいた。
Bさんは、放っておけば子犬が生まれてしまうとして、飼い犬にできないかと東三河支所に相談した。当時の職員は親身になって話を聞き、捕獲方法をAさんやBさんに教えた。
それから4年、犬は少しずつ心を開き、ある人の庭でくつろぐようになったという。Bさんも家に囲いをつくるなどして犬を迎える準備を整えていた。そんなタイミングでの捕獲だった。
今回の事態に、AさんとBさんから相談を受けていた徳田さんは「動物愛護センターの『愛護』とは何なのか」と疑問を呈した。「凶暴だから引き渡せないというが、無理に捕まえて閉じ込め、テストと称して刺激するようなことをすれば凶暴にもなる。保護しようと4年間世話してきた人たちの言うことを無視し、凶暴だとして殺処分するような決まりのどこに愛護の精神があるのか」と指摘した。
取材に応じた県動物愛護センター本所の職員は「犬も猫も一頭でも救いたい、譲渡したいという気持ちはある。昔の殺処分施設から、譲渡施設に生まれ変わろうとしている。ソフト面も変えていかないといけない」と述べた。
購読残数: / 本
1988年生まれ。三重県津市出身。
地元で数年間地域紙の記者を務めた後、某ゲーム会社で企画の仕事などを経験。新型コロナウイルス禍で紆余曲折あって豊橋市で再び地域紙の記者に。地域の人に地域の良いニュースを伝えたい。
趣味は一口に言うとゲーム。著名なタイトルをすべて網羅しているわけではないが、コンシューマーはファミコン時代から「ドラゴンクエスト」などを親しんでいる。ジャンルは問わず、環境としてはオンライン、カード、ボード、テーブルトークなど手広くプレーしている。
好きなものは甘いもの。犬派。写真は実家の猫。
週間ランキング
日付で探す