県が12年ぶりに見直した南海トラフ地震の被害予測が公表された。深刻な津波被害が懸念される田原市は、この12年間で避難施設などハード整備が進んだ。そのうえで、物資や救命などの緊急輸送ルート確保へ向け、市が県と実現を目指す「渥美半島道路」の早期実現へ向けた動きもさらに活発化しそうだ。
県の予測では、過去の歴史的な大地震を重ね合わせた「過去地震最大モデル」(マグニチュード約8・9)で、田原市は最大震度7、津波は第1波到達が最短11分後、最大津波高は9・6㍍となった。
1000年に1度または、それより発生頻度が低いとされる「理論上最大モデル」(同9・0超)の予測では、最大で高さ20・2㍍の津波に襲われるとしている。
市内では1854年の安政東海地震で、現在の堀切町を10㍍の津波が襲った記録が残る。沿岸部に築いた「ボタ」と呼ばれる天然の防潮堤が長年のハード対策だった。
国や県の被害予測が深刻化するのに伴い、市は2014年、沿岸部の避難困難地域に建つ旧市立堀切小学校を近隣2校とともに伊良湖岬小学校として統合再編。18年には堀切小跡に約8億円で標高9㍍の津波避難マウンドを造成した。
三河湾岸では23年、同市小中山町の児童公園など4カ所に津波避難タワーを建設した。近隣住民らの一時避難場所として計2000人を収容できる。総額4億2000万円を投じた。表浜沿岸の赤羽根港周辺では、県の防潮堤整備も進んでいる。港を囲うように国道42号や西側の池尻地区、南側の道の駅と隔てる地上高6・4㍍のコンクリートの壁が順次築かれている。
ハード対策は進む中、能登半島地震を機に課題となったのが「半島防災」だ。市は県と「道の駅伊良湖クリスタルポルト」から国道259号を生かし、豊橋明海町までを結ぶ信号のない「渥美半島道路」の早期整備に乗り出した。物資や救急のための緊急輸送路として昨年度にはルート案も提示した。
市防災対策課の担当者は「津波被害は大きな変化がないが、有事への備えの必要性には変わりがない。半島防災は急ぐべき課題だが、個人や地域でできる自助と共助のソフト強化も重要だ」と述べた。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
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