■気候関連情報開示の義務化
日本では、気候関連情報の開示を求める国際財務報告基準(IFRS)S2の公表を受け、日本の財務会計基準機構(FASF)の下に設置されたサステナビリティー基準委員会(SSBJ)が、2025年3月に気候関連開示基準を策定した(26年3月に一部改正)。このSSBJ基準は、「IFRS S2」を国内基準化したものといえる。
27年3月期に平均時価総額3兆円以上の企業は、このSSBJ基準に従った情報開示を、27年6月頃の有価証券報告書で行うことが義務づけられている。続く28年には1兆円以上、29年には5000億円以上の企業も義務を負うこととなり、その後については拡大方向で検討中である。開示義務の法的根拠は複雑で、金融商品取引法だけでなく、内閣府令・付則や金融庁告示を合わせ読む必要があり、詳細は割愛する。
■温室効果ガス排出量の開示
この開示情報のなかには、温室効果ガスの排出量も含まれる。具体的には、自社の直接排出量(スコープ1)、間接排出量(スコープ2)、自社のバリューチェーン内で発生する上流・下流企業の排出量(スコープ3)の3種類の開示が、企業に義務づけられている(SSBJ基準47項)。
燃焼により発生する二酸化炭素の測定が基礎であり、スコープ1はガスやガソリンの使用量(自社で燃焼)、スコープ2は電気の使用量(火力発電所等で燃焼)を基に算出する。
■中小企業の排出量の算出
SSBJ基準により開示義務が課される時価総額5000億円以上の日本企業は、現在は約300社である。しかし、中小企業も無縁ではない。スコープ3は、取引先企業の自社関連の排出総量を開示する必要がある。
そのため、時価総額3兆円を超えるトヨタ自動車や豊田通商、デンソー、イオンなどと取引のある企業は、すでに今年度より、それらの企業との取引の範囲内で直接・間接に排出した温室効果ガスの量を伝えることが、実質的に求められている。
また、SSBJ基準に基づく法的義務を負っていなくても、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同する企業は、以前からスコープ3を開示している。そのため、東三河でも、取引先企業からの要請に基づき、自社の排出量を算出している中小企業は少なくないと考えられる=図。
排出量の算出は、どの企業にとっても負担である。しかし、次回以降に記す通り、気候変動対策という公益だけでなく、排出量取引への参加や経費削減などの経済的利益にもつながりうるのである。
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