昨年10月5日にスタート、毎週水曜に本紙で掲載しているエッセー「ゆうカフェ」は間もなく1周年を迎える。27日は50回目の節目だった。「社会保険労務士として学んできたことだけでなく、時代の変遷やこれからの方向性を多くの皆さまと一緒に考えていけたら」がコンセプト。筆者で豊橋市中浜町の後藤社会保険労務士事務所の後藤祐子さんに話を聞いた。
豊橋市出身。大学を出て金融機関に就職した。バブル経済崩壊直後で就職難が始まっていた。「女性は一般職の採用しかありませんでした。しかも女性で4年制大学出身は自分だけだった」と振り返る。窓口や広報を任されたが、思っていた仕事ではなかった。
消化不良のまま定時に帰る日々が続いたが、あるきっかけで名古屋のスクールが社会保険労務士の受験指導をしていることを知った。「こんな世界があるのかと思った」という後藤さん。資格を目指し、平日は働きながら毎週日曜にスクールで勉強し、土曜は図書館などで自習した。
合格率6~7%の難関。1年目での受験は惨敗したが、3回目で見事合格した。勤務先に異動を申し入れたが認められなかったのを機に退職。1999年10月、独立開業した。父は公認会計士で事務所を構えている。そこに同居する形で社労士事務所を開いた。
20代後半。「同期には営業で苦労した社労士もいましたが、自分にはそれがなかった」と話す。父の取引先から仕事が回ってきた。だが「失敗するんです。せっかく依頼されてもうまくいかない。依頼者にも、紹介してくれた父にもずっと謝っていました」と振り返る。大手事務所で修業しなかった分、実務経験が不足していた。
結婚して3人の子供に恵まれた。だが「家事も仕事も子育ても、何一つ満足にできない」と自ら思い悩む日が続く。しかし10年前「50歳まで失敗してもいいから、とにかくやろう」と心機一転し、チャレンジを続けてきた。実はこの「ゆうカフェ」もそんな思いの表れでもあった。
「分かっているつもりで原稿を書こうとすると『この表現で良かったかな』と調べ直し、新たな学びを得ます。それが直後の相談に生きたこともある」と後藤さん。今後の執筆構想もできているという。
「社会は人と人との調和で成り立つ。さまざまな個性を大切にする多様性を重んじて、働きやすい環境を提供したい」と語った。
10月1日から開業25周年を記念して無料相談を受け付ける。詳細はホームページ=QRコード=から。
【山田一晶】