今回の住民投票は、豊橋公園にアリーナを建設するか否かにとどまらず、豊橋のまちがどうあるべきかが問われている。具体的には、豊橋駅はどうあるべきか。豊橋公園はどうあるべきか。そして、豊橋の中心市街地である、まちなかがどうあるべきか。加えて、団塊世代が後期高齢者となる年を迎える。そこで、高齢者が生き生きと暮らせる視点で考察してみたい。なお、この論稿はアリーナ建設の賛否を越えて、まちなかでまちづくりに取り組む一市民の立場で、ここから議論が広がることを希望する。
まずは、豊橋駅。電車のホームに至るまで、昇って降りるという動きを必要とする。また、豊橋駅の両脇にある渡線橋が老朽化を迎えているが、エレベーターはなく歩行者や自転車利用者には大きな負荷を与えている。駅内の東西自由連絡通路は自転車の通行はできない。換気の問題が生じている。さらに、豊橋鉄道市内線も渥美線も分離している。これらの課題を解消する高齢者に優しい駅を目指したい。そこで、高架にする。新幹線を含めた電車のホームを階上にあげて、歩行者と車両がその下を通ることを考えてみたい。
そして豊橋公園は、吉田城址(じょうし)があり歴史や文化の拠点であり、多くの高齢者にとっても心のふるさとのような想い出深いスポットである。また、以前は体育館もあり野球場、陸上競技場、武道館、プール、テニスコートなどが集積するスポーツの拠点でもある。今後も高齢者がスポーツを楽しめることは健康につながる。また、近年は暑い夏となり、屋内でスポーツを楽しむことはますます求められる。加えて、豊橋公園は緑豊かであり、隣接する豊川堤防には歩道も整備されていて、散歩を楽しむことが求められる。
最後に、まちなかはマンションが立ち並び住空間ともなっているが、今後は低所得者向けの住宅も必要とされる。その核心は、自動車がなくても生活ができること。歩きながら回遊できること。そのためにそれぞれの通りに特色があると良い。しかも緑豊かで明るく清潔であってほしい。さらに、生涯現役で働ける自営業者の存在が大きい。「お好み焼き伊勢路」の堀米治さん、「洋菓子マッターホーン」の河合秀矩さんが思い出される。そして、リハビリや予防医学も含めた医療機関があり、同じく歩いて通院できることが求められる。
以上のことを議論する場が市議会であり、商工会議所であり、私が所属する通り振興組合をはじめとする発展会などの市民団体である。今回を機に議論を深めたい。なお、まちづくりに参画して思うのは、自由という障壁である。公共の福祉が見落とされる。土地建物のオーナーの所有権が強調される。かたや、みんなのこと、公共の福祉を考える時でもある。これは憲法12条と13条で明記されている。そして、今回の住民投票にもそれが求められている。それを互いに涵養(かんよう)しながら子供たちに誇りあるまちを受け継ぐ一票を投じたい。
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