豊橋市議会臨時会は15日、多目的屋内施設(新アリーナ)と豊橋公園東側エリア整備運営事業の継続賛否を問う住民投票条例案を可決した。自民や公明など5会派と、新しい豊橋が提出した2案を審議し、賛成多数で自公案を選んだ。投票は7月の参院選投開票日と同日とした。
住民投票条例案は自公案のほか、新しい豊橋の2案が提出された。自公案には共産と豊橋維新の会、みらい市民の代表も提案者となった。
自公案は住民投票の告示と投票を参院選の期間に合わせた。参院選は7月3日公示、20日投開票が有力視されている。投票できるのは選挙権のある満18歳以上とした。
審議では投票期日の違い、推進議員に対し過去3度の否決と今回提案に至った理由などで質疑があった。長坂尚登市長には投票結果を踏まえた態度や、有権者の判断材料となる情報発信にも質問が集まった。
参院選との同日開催について、尾林伸治氏(公明)は「投票率向上と選挙費用を低減できる利点がある」と答弁。広地学総務部長も「参院選と同日なら費用は4割低減できる」と説明した。
「180日以内」の開催を主張する諸井菜々子氏(新しい豊橋)は、選挙期間に関する条項について「参院選期間中は投票運動が大幅に制限されてしまう。市民が情報を得られる機会は減らないよう、10~11月の投開票が適切」とした。
小林憲生氏(自民)ら複数が、市側の公平公正な情報提供の必要性をただした。長坂市長は「現計画は事業推進を前提に策定された内容だ。現在の市政は契約解除へ向けて協議を進めている。市主催での公平公正な説明会を開くのは難しい」との認識を示した。
菅谷竜氏(新しい豊橋)は過去3度の否決を経て、自公両会派が今議会で提案に至った理由を尋ねた。自公両派の提案者らは一様に、契約解除を巡る事業者や賛否両派の溝が埋まらない▽工事中断や計画中止に伴う損失補償など判断材料が乏しい▽公園東側の再整備に関し市長が代替案を示していない―ことから、住民投票で決めるしかないとの認識を示した。
採決では自公案を賛成多数で可決した。条例案可決に伴い、市が追加提案した住民投票に伴う3384万円の補正予算案も可決した。繰越金5000万円を充て、参院選の県委託費から1615万円を減額補正した。市民への周知策は広報とよはしを活用する考えだが、7月号の校了が6月中旬のため参院選期日が未確定となる。広報では選挙期日のほか投票所やと投票方法など基本的な情報を盛り込むため、参院選期日の確定後にチラシ形式の「号外」を新聞折り込みで配布する。
新アリーナ事業の住民投票を巡っては、反対する市民団体の直接請求で過去2回審議したが議会は否決した。昨年11月の長坂市長当選後、12月定例会で推進派と反対派が関連条例案を提出したが自民などが「判断材料となる情報が乏しい」と撤回。反対派の対案も否決し立ち消えになった。
3月3日現在の選挙人名簿登録者数は、29万2660人(男14万5862人、女14万6798人)。
長坂市長は住民投票実施について「地域の重大なテーマについて広く市民の判断を仰げるいい機会だ」と述べた。投票結果の尊重について「賛成多数なら事業継続、反対多数なら契約解除の手続きを進める」との考えを示した。公平公正な市の情報発信と説明会の必要性についいて「議会質疑でも公平公正の解釈が定まっていなかった。市として法に触れる可能性がどこまでかが分からない中、判断できないことには慎重に対応せざるを得ない。開示できる新たな情報があれば提供する」とした。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
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