豊川南部中2年の高崎さん、ブリスベン五輪で金を目指す
自転車競技「BMX」の年齢別世界一を決める「UCI・BMXレーシングワールドチャレンジ」(5月12~18日、米サウスカロライナ州ロックヒル)で、豊川市立南部中学校2年の高崎成琉選手が13歳男子の部で初優勝した。日本勢では20年ぶり2人目の快挙。高崎選手は今回の優勝を「通過点」とし、2032年のブリスベン五輪で金メダルを目指す。
「BMXレーシング」は、アップダウンの激しい約400㍍のコースで、スピードを競う。高速でのコーナリングで、選手同士で激しくぶつかり転倒することもあり「自転車の格闘技」と呼ばれている。08年の北京五輪から正式種目となった。
高崎選手は、1歳9カ月でペダルのない二輪車に乗り始め、競技に出合ったのは3歳の頃。伊豆市の「サイクルスポーツセンター」に遊びに行った際、レースコースで練習している先輩たちを見て、「自転車に乗って飛ぶのがかっこいい」と憧れた。
地元には施設がないため、不定期に開かれる全国各地のレッスンに通ったり、上級者の動画を見たりして技を身につけていった。3歳10カ月で大会に初出場したが、満足した結果が出ない時期もあった。それでも持ち前の負けん気の強さで練習を重ね、7歳で初めて出た世界選手権では7位。「世界のレベルの高さを思い知った」と金メダルの夢を持つきっかけになった。
世界一に挑んだ22年の仏大会では2位、23年の英国大会では7位。「めちゃくちゃ悔しかった。必死になって練習した」と振り返る。特に強化したのはスタート。加速をつけてスムーズに体重移動する練習を繰り返した。また、肩に力が入ってしまう癖をトレーニングで改善していった。
レース前日は「調子が良かった。練習してきた自信があったので、全く緊張していなかった」と高崎選手。母葵妃さん(40)は「試合前でも、観客席に手を振る余裕があって驚いた」と話す。
本番では、予選から決勝まで計7本すべて1位。決勝では1回も先頭を譲ることなく逃げ切り、優勝が決まると左拳を上げた。勝因については「予選の走り」を挙げ、「予選の成績順に走路を選べる。今回は中央に向かって狭くなるコース。有利な3レーンで挑めたことが大きかった」と語る。
2週間に1回トレーニングコーチを務めるネクサスの松本貴嗣さん(41)の存在も支えになったという。6歳で出会い10年来の付き合い。普段は股関節や肩などの柔軟運動、計算しながら体を動かす脳トレなどに取り組む。「筋力がないなかで勝てたのは、力の伝え方をトレーニングしてきたから」と感謝した。
松本さんは「成琉君は努力の天才だと思う。身体能力は高くないし、体の使い方を覚えるのも人一倍時間がかかる。その分、日々コツコツやってきた」とたたえた。
高崎選手は「来年は世界選手権2連覇を目指す。多くの海外レースを経験し、ブリスベンでの金が目標」と力を込めた。
【北川壱暉】
20年ぶりに優勝した高崎選手(同)
松本さんとのトレーニング