地域経済を盛り上げる人材育成を目指し、企業など一定組織に欠かせない「簿記人口」の裾野を広げる取り組みが動き出した。公認会計士・税理士や中小企業診断士らが中心になり19日、一般社団法人「社長簿記ゲーム協会」を設立した。イベントやセミナーなどを通じて若年層が簿記に触れる機会の創出を目指す。初回の企画は徳島県で実施、地方から普及推進に乗り出す。
簿記とは、一定の組織や個人が取引した際に資産や負債、純資産といった総資産の増減と、収益・費用などの損益に区分して記録することで企業経営では欠かせない知識の一つとされる。しかし教育現場を中心に学ぶ機会が限られている実態が続く。
簿記教育に携わってきた公認会計士・税理士で「柴山会計ラーニング」(東京)の柴山政行社長は10年ほど前から遊びを通じて体験する取り組みを展開、数字の感覚が強くなった子どもが簿記1~3級などの資格取得に至ったケースが出てきたのを踏まえ「若い世代が簿記に触れることは重要」と考えるようになったという。立ち上げた法人名には子どもたちにも身近に感じてもらいたいとの思いを込めて「ゲーム」という文言を盛り込んだ。代表理事は柴山氏が務める。
経営者の立場でビジネスの仕方などを学ぶゲームを通じて、簿記の基礎知識を楽しく学び、関心を高めてもらう機会をつくる。普及推進に向けて、協会は中小企業を支える会計事務所を対象に会員を募集する。現場で参加者に教えるインストラクターも養成し、会員の協力を得て簿記教育を広げていく。オンラインを使ったゲームや講座の開催、YouTubeチャンネルでのPRなども計画する。
東三河や静岡・遠州などの地域はモノづくりが盛んだ。柴山代表理事は「ブラジルのサッカーのように簿記を楽しむ幅広い年代層を増やしたい。地域や日本の経済を引っ張っていくリーダーの育成につながるはず」と期待を込める。
問い合わせは「社長簿記ゲーム協会」(shop@bokikaikei.net)へ。
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