豊川高校3年の女子生徒7人は、豊川市伊奈町の天然素材メーカー「羽田野雲母工業」の力を借りて、天然素材のフェースパウダー「美kira(びきら)」を考案した。辻ひまりさん(18)は「売り出されるのが楽しみ」と声を弾ませた。
同社は、65年間化粧品の原料となる鉱物「雲母(マイカ)」の加工に取り組んできたが、近年は「加工業からの脱却」を狙い、化粧品の開発にも取り組んでいた。だが「化粧品販売は素人。ユーザーに寄り添った商品を世に出したい」と羽田野尚輝社長は考えた。そこで2023年7月、豊川信用金庫地域支援部の紹介で、産学連携に積極的な豊川高校と、ユーザーとなる高校生の意見を取り入れたい同社の連携が始まった。
7人は学内応募に手を挙げた。プロダクトデザイナーを夢見る舟橋叶恩さん(18)は「一から商品を作る過程を学んでみたかった」のが動機。最初は、工場見学などで会社概要を知り、豊川信金からはビジネスの基礎を学び、化粧品開発への理解を深めていった。
高校生はさまざまな成分の化粧品を試し、羽田野社長はヒアリングを重ねた。そこで出たのが「肌荒れ」の心配だった。これまでの化粧品は、ブランドやデザイン、使用感などで選ぶのが一般的だが、その多くは数十種類以上の成分が入っており、高校生にとって肌への負担が大きいと考えた。
そして、たどり着いたのが「成分で選ぶ」というコンセプト。「天然素材を扱う会社だからこそ肌思いな商品を提供したい」と、天然由来成分のマイカを90%使用し、そのほかは最低限の五つの成分に絞った。軽い仕上がりで、生徒たちは「さらさらで肌さわりが桁違い」と自信のある商品に仕上がった。
生徒たちはパッケージデザインのほか、インスタグラムの投稿、ポスターのコピーや写真撮影などにも取り組んだ。持ち運び便利なコンパクトサイズにし、パッケージは紅色に。ポスターは画像編集アプリを使って光り輝くロゴにし、「化粧品デビュー」の若者が手に取りやすいように肌への刺激が少ない点を訴求した。辻さんは「インスタに投稿したら、後輩が『かわいいから絶対に買う』と言ってくれた。必死になって相手のニーズを考えたかいがあった」と話す。
羽田野雲母工業は、3月1日からクラウドファンディングに取り組む。「美kira」は、かつて「マイカ」が採れた西尾市吉良町と「美」の造語。羽田野社長は「初めて化粧する人もそうでない人も、天然素材のパウダーをぜひ体験して」と呼び掛けている。詳しくはサイトへ。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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