田原市臨海部の企業用地で再生エネルギーの生産拠点が続々と稼働している。市によるとバイオマス発電施設3カ所が今年度内の運転開始を予定している。電力以外にも廃食油を生かしたバイオ燃料の製造施設も新たに稼働した。市は県内屈指の再エネ施設が集積する臨海部への企業誘致につなげたい考えだ。
石油資源開発(JAPEX)など8社が出資する「田原バイオマス発電所」は27日、同市白浜でバイオマス発電所の完工式を開いた。施設ではすでに4月から営業運転を始めている。
総額390億円を投じた発電所の能力は定格出力50メガワット、年間発電量約3億5000万㌔㍗時で、一般家庭約11万世帯分の消費電力に相当する。
東南アジアから輸入した木質ペレット(1日約650㌧)を発電燃料に再利用する。燃料の保管や輸送、投入までを専用コンテナで一貫する方式で倉庫保管より燃料の粉化を抑え、延焼防止にもつながるという。来年度から輸入拠店も衣浦港から三河港田原地区へ移すことにしている。
電力の固定価格買取制度(FIT)で中部電力パワーグリッドを通じて2044年11月末まで売電する計画だ。
市によると、田原臨海部でのバイオマス発電所は昨年11月の「愛知田原バイオガス」に続く運転開始。今後も6月中に伊藤忠商事や中部電などの「田原グリーンバイオマス」が同じ田原4区の白浜で、8~9月には田原公共ふ頭に近い1区でJFEエンジニアリングなどの「田原バイオマスパワー」が運転開始予定。
バイオディーゼル製造で知られる「レボインターナショナル」(京都市)は4月18日、同市緑が浜の田原1区で愛知工場を本格稼働させた。京都に次ぐ製造拠点としてバイオディーゼル燃料の製造に加え、環境性やコスト面で優れた再生航空燃料「SAF」も新たに製造。SAFは中部空港への供給拠点と位置付け、バイオディーゼル燃料も近隣工場などエネルギーの地産地消にも取り組みたい考えだ。
同社初の生産となるSAFは次世代航空燃料として期待される。工場の生産能力は1日約600㍑。独自の特許製法で廃食油中の酸素除去に必要なプラントの小規模化につなげた。従来製法なら100億円規模だった工場投資額も43億円で済んだという。
同市臨海部での再生エネルギー施設は2000年代まで工場用地の一部などに設けた風力発電が主流だった。東日本大震災を機に10年代からメガソーラー誘致が、この数年はバイオマス発電が増えた。市企業立地推進室によると「これら発電施設の発電能力は計47万㌔㍗。うちバイオマス発電所は29万㌔㍗に上る。SAFなど新たな再生燃料の生産拠点も現れ、再エネ集積地の特色を企業誘致のアピール材料に活用したい」と述べた。
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