イオンモール進出③ 豊川市民病院周辺の交通渋滞心配

2017/02/04 00:01(公開)
国道1号から続く南西側の道から市民病院に入る救急車=豊川市八幡町で
 豊川市白鳥町のスズキ豊川工場が撤退後の敷地にイオンモールを誘致している計画で、心配されるのが近隣の豊川市民病院(八幡町)への影響だ。交通渋滞により、救急搬送に障害が出る事態は避けなければならない。
 進出予定地のすぐ北側にあるのが、2013(平成25)年5月に移転オープンした市民病院だ。市によると、2015年度で年間の市内での救急収容人数は6869人。このうち、市民病院への搬送は5362人で、その割合は実に78・1%に上る。
 他の進出地区の事例からも、大型商業施設が誕生すると、利用客による交通渋滞の発生が予想される。傷病者を乗せた救急車が渋滞に巻き込まれ、治療が遅れることを懸念し、市医師会なども進出に反対を表明している。
 救急車が通る主な搬送経路は、病院北側は姫街道に接続するAコープ中部店前の道路。南側は蔵子地区へつながる香月堂前の道と、南西側にカーブし、国道1号にもつながる道がある。市消防本部によると、現時点でこれらの道で、通勤時間帯や休日で渋滞による救急搬送への障害は起きていない。
 施設への入り口の位置など、まだイオンモール側が出店概要を示していないため、消防本部は「救急車の搬送ルートへの影響の予測調査や対策はまだ取れない状況」と説明する。ただ計画地と道路の位置から、病院から南側の地域からの搬送に影響が出ることが予測される。
 スズキの鈴木修会長は市民病院の周辺環境にも配慮し、製造系企業ではなく、商業施設の誘致を決めた。患者や見舞いに来院する人たちに買い物や娯楽の楽しみが生まれるメリットもあるが、人の命を救う病院本来の機能を失ってはならない。
(由本裕貴)
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