後継者不足や高齢化などで耕作放棄された園芸施設の再生へ向け、田原市堀切町で輪菊を生産する渡会理史さん(48)と愛知大学の学生らが「空きハウス」でアボカド栽培を通じた6次化プロジェクトを始動させた。難しいアボカド栽培の生産過程も体験できるオーナー制を導入し、収穫以外の満足度を高めて近郊大都市圏からの交流人口増も狙う。
プロジェクトの初年度は、愛知大の藤井吉隆教授が主宰する6次産業化を学ぶゼミ学生18人が参加する。近隣での耕作放棄ハウスの実態調査や提供された空きハウスの再整備などを経て、秋以降は少量の苗木を栽培。併せて栽培過程を体験できる家族オーナー制度導入も研究を進め、2027年度以降の本格運用を目指す。ゼミとの連携は来年度以降も続ける。
市内は輪菊をはじめ鉢花などが日本一の産出額を誇る。藤井教授によると2005年から15年間で市内の施設園芸農家は20%減った。後継者がいる農家は40%弱で、今後さらに空きハウスの増加が心配されている。
初年度の初顔合わせとなった21日、藤井教授と学生7人が渡会さんの農園を訪ねた。近隣農家からプロジェクトに無償提供された築50年近い空きハウスは、2棟で約1300平方㍍。一部側面のビニールが破れたほかは大きな損傷もないが、天窓を制御するモーターの更新など改修には約400万円が必要だ。
ハウスの修繕や苗木購入など初期投資に必要な資金は市のクラウドファンディング型ふるさと納税で賄う。寄付者にはアボカドの木の所有権を返礼品とする。安定した収穫が難しいなか、生産過程や現地での栽培体験などを通じ、農業に触れる機会が少ない大都市圏の家族を利用者層の中心に置くという。
また、近隣で熱帯フルーツの栽培に挑む生産者仲間の農園で、実際に5年近く育てたアボカドの木や数少ない実がなった様子なども視察した。
アボカドは苗木から実を収穫できるまで最短5~6年かかる。国内では量産技術が確立されていない未知の作物だが、気候変動の影響で亜熱帯作物を本州でも栽培できる事例が登場している。
渡会さんは「オーナー制は1家族6万円前後で採算確保を目指す。既存の体験型メニューと組み合わせて付加価値を高めるなど工夫も必要だ。年間を通じ、定期的に農園を訪れることで市内の交流人口も増やしたい」と語った。
日置漱太さん(3年)は「栽培技術が難しい一方、オーナー制度は家族層への訴求効果がありそうだ。SNSを生かして魅力を伝え、消費者の関心もつかみたい」と意気込んだ。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
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