東三河総局は、小学校高学年を対象とした外来種啓発小冊子「知ろう!学ぼう!考えよう!外来種~東三河の自然を守るためにわたしたちができること~」を発行した。A5判フルカラー24㌻。1000部発行し、東三河の小学校や図書館に配られるほか、県のサイトからも電子データがダウンロード可能となっている。
小冊子は、外来種を人間の手によって他の土地から運ばれてきた生き物と定義している。ペットや作物としての利用、あるいは貨物への混入などが主な原因だ。外来種が自然界で繁殖すると、在来種との競合や捕食を通じて生態系のバランスを崩す恐れがある。しかし、外来種自身が悪者なのではなく、無責任に持ち込み、野外に放った人間にこそ問題があると強く指摘し、生き物の命を尊重する姿勢を求めている。
東三河での具体的な問題事例も詳細に報告されている。豊橋市の梅田川河口域などでは、北米原産の植物ヒガタアシが侵入した。増える力が強く干潟の泥を固めてしまい、アサリやカニなどが生息できなくなるという深刻な水産業への悪影響を及ぼしたが、市民や地元企業などの協力による駆除作業の結果、2017年に根絶されたという。また、新城市の長ノ山湿原では、盗掘などで減少した野生のサギソウを保護しようと地域住民が園芸種のサギソウを植えた結果、野生種との交雑種が生まれ、かえって純粋な野生種が減少してしまうという事態が発生した。現在は環境団体が専門家と協力し、遺伝子を調べて園芸種を取り除く作業を行っている。
身近な生物の危険性や法規制についても触れられている。かつて「ミドリガメ」として販売されペットとして持ち込まれたミシシッピアカミミガメは、成長すると攻撃的になり人に危害を加える恐れがあるほか、在来種に悪影響を与えている。ミシシッピアカミミガメやアメリカザリガニは「条件付特定外来生物」に指定されており、許可なしでの飼育は可能であるものの、野外に放すことや別の場所へ運ぶことは法律で固く禁じられている。
このほかにも、東三河では植物のオオキンケイギクやセイタカアワダチソウ、動物のアライグマやウシガエルなど多数の特定外来生物が確認されており、注意を喚起している。
冊子は、外来種問題の解決に向けて市民一人ひとりが取り組むべき行動を提案している。具体的には、身近な生き物に関心を持ち外来種について正しく知ること、野外で見つけてもむやみに持ち帰らないこと、そして飼育している動物や植物を絶対に野外に逃がしたり放したりせず最後まで責任を持って飼育することだ。県は、これらの小さな行動の積み重ねと、問題を周囲に伝えていくことが、東三河の豊かな自然と生態系を守る大きな力になるとして、地域や家庭での学習への積極的な活用を呼び掛けている。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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