「持続可能性」は企業価値そのものを左右する課題となり、企業による気候変動対策は不可避となった。その対策の主軸は、二酸化炭素の排出削減である。各国は、パリ協定に基づき削減目標を掲げ、自国内での削減を促進している。そして、削減量を可視化するため、最近では排出量の測定が企業にも求められている。
その背景には、金融安定理事会(FSB)が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言がある。FSBは、リーマンショックを受けて2009年に設立された世界の金融安定化を目的とする国際的な機関だ。TCFDは、企業が投資家向けに「気候変動が経営や財務に与える影響」を開示する枠組みを策定する目的で、15年に設置された。
TCFDは、気候変動に関する①ガバナンス(責任者等)②戦略(事業への影響等)③リスク管理(リスク評価・対応等)④指標と目標(数値データ等)―を開示すべきことを17年に提言している=図。このうち④の指標として、二酸化炭素の排出量の開示が求められている。
大企業の年次の統合報告書などのなかで、当該企業がTCFDに賛同することが記載されていることがある。このことは、気候変動対策を誠実に行う企業であることを、投資家に対して示すものと評価できる。つまり、上記四つの開示情報は、投資家が企業の倒産リスクや成長可能性などを判断する材料として用いられる。
さらに、TCFDへの賛同は、企業の持続可能性を示す一つの指標となるため、取引先の選定基準としても重要な役割を担っている。
TCFDは23年に解散し、その任務は国際財務報告基準(IFRS)財団の基に設立された国際サステナビリティー基準審議会(ISSB)へと引き継がれた。IFRSは、日本でも一部の上場企業が選択的に採用している国際会計基準だ。
その基軸となる「IFRS 1~17」(27年以降は18を含む)の財務会計基準に加え、サステナビリティー開示を旨とする「IFRS S1」(全般)とS2(気候関連)が23年に公表された。この「IFRS S2」が、TCFDの4本柱の提言を引き継ぐ内容となっている。
「IFRS S2」は、国内法に導入されれば、任意であったTCFD提言に基づく情報開示を、法的に義務化する効果をもつ。日本では、「IFRS S2」の導入が27年以降段階的に予定・検討されている。それにより、次回示すとおり、中小企業も直接的または間接的に影響を受けることが考えられる=表。
購読残数: / 本
週間ランキング
日付で探す