豪州の影響でうどん値上がり? 今秋以降の動向に注視

2026/06/21 00:00(公開)
そのメカニズム
そのメカニズム

 オーストラリア農業水産環境省の農業資源経済科学局はこのほど、最新の作物報告を発表した。新たな会計年度となる今年7月から来年6月期の同国における小麦生産量が、前年度比26%減の2670万㌧にとどまるとの見通しを明らかにした。主要栽培地域での土壌水分不足に伴う冬の乾燥リスクに加え、中東情勢の緊迫化を背景とした燃料や肥料の価格高騰が作付面積を12%縮小させる要因となった。

 

 この南半球の大規模な減産は、遠く離れた日本の食卓、とりわけ国民食「うどん」の価格に深刻な影を落とそうとしている。日本は年間約500万㌧を超える食用小麦を海外から輸入しているが、その約16%を豪州産が占めており、米国とカナダに次ぐ第3位の重要な調達相手国だ。

 

 日本が豪州から輸入する年間75万~90万㌧前後の小麦は、そのほとんどが「オーストラリア・スタンダード・ホワイト」と呼ばれる銘柄。これは、うどん特有の滑らかなコシや美しい白さを引き出すために最適な中力粉の原料として重宝されており、他国籍の小麦による代替が極めて困難という特性を持つ。

 

 日本が輸入する小麦は国家貿易により農林水産省が一括して買い付け、民間製粉会社へ売り渡される。この政府売渡価格は過去6カ月間の国際価格を反映し、毎年4月と10月に改定される仕組みであるため、現地での価格高騰は数カ月のタイムラグを経て国内に波及する。

 

 国際的な需給引き締まりは、日本の政府売渡価格を段階的に押し上げ、製粉会社からうどん店や製麺メーカーへの価格転嫁を促す公算が大きい。さらに今回の減産は、海上運賃や燃料費といった物流コストの上昇とも時期が重なっている。小麦粉自体の値上がりに加え、しょうゆなどの調味料や店舗の光熱費も連動して高騰しているため、飲食店や小売店は自助努力による吸収の限界を迎えつつある。過去の干ばつ時と同様に、今秋以降に数十円規模のうどんの値上げが相次ぐ懸念が強まっている。

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山田一晶

1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。

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