東三河唯一の日産自動車正規ディーラー「東愛知日産自動車」(本社、豊橋市下地町)が運営する情報サイト「タンポポヴィレッジ」が、設立10年を迎えた。試乗レビューで他社比較や自社の短所まで隠さず公開する独自方針を貫き、現在は若手社員やインターン生の育成の場としての役割も担っている。
「入社当初、カーディーラーという言葉が好きではなかった。車を単に右から左へ流すような響きに違和感を覚えた」。青木宏将副社長(55)は振り返る。広告業界を経て父の病を機に家業へ入ったが、当時は大幅な値引き交渉で売る「押し売り」の慣習が残っていた。
転機は2015年。自社の利点ばかりをアピールする世間の手法に限界を感じ、お出かけ先の提案を通じて車の必要性を高めようとメディアを立ち上げた。
サイト名に「車」を連想させる言葉はない。「車は大切な人と過ごす『移動する部屋』。ドライブを通じて地元の魅力を再発見してほしかった」との思いからだ。かつて保守的な地元の空気になじめなかった青木副社長。田原市の路地を走り「こんな景色があったのか」と驚いた経験から「サイトで地元を好きになり直したかった時期だったのかもしれない」と語る。
この「青木イズム」を継承するのが岩狹涼さん(30)だ。10年前の面接で、趣味のカードゲームの経験と、押し売りをせずにアフターフォローまで手を抜かない自社の売り方が奇跡的にマッチ。岩狹さんは「売りっぱなしをなくしたい」という青木副社長の熱意にひかれ、入社を決めたという。
店舗営業などを経て5年目から運営の主軸を担う。2021年からは、より購買につなげるため「車選びの最適解」を提示するメディアへと再定義。自社の欠点まで正直に発信し、誠実な情報を届けることが「ここで車を買いたい」という指名商談につながるという確信のもと、県内のイベント情報や店舗紹介だけでなく、納期や見積もりといった車にまつわる豆知識、車種やメーカーの比較記事なども書き始めた。現在は大学生インターンとともに発信を続ける。
インターン生が執筆したコラム「ひとりでいさせて。」では、外回りに疲れをにじませる架空の営業マンを登場させ、職場でも家庭でもない「サードプレース」を提案する。三河臨海緑地公園や豊橋駅前のベンチを人物の立場から紹介している。岩狹さんは「初稿ができあがった時、完成度に手が震えた」と目を細める。
取材のアポ取りの電話に四苦八苦していた学生が、言語化スキルを磨き、期待を上回る記事を書き上げる姿に「やっていてよかった」と手応えを語る。地道な発信の結果、徐々に来店客や地域の店から「サイトを見たよ」という声が増え、現在は来店客向けの紙媒体の発行も行っている。「メディアとともに、関わる人が成長し続ける場所にしたい」と岩狹さん。青木副社長は「年々岩狹くんが頼もしくなっている」と信頼を寄せている。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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