「第108回全国高校野球選手権愛知大会」は、決勝で享栄が愛工大名電に4対1で勝利し、1995年以来31年ぶり9度目の夏の甲子園出場を決めた。東三河ゆかりの選手では、蒲郡幸田リトルシニア出身の藤井陽斗(3年)、豊川西部中学校出身の菅沼琥太朗(2年)の両選手が適時打を放つ活躍を見せ、チームの優勝に大きく貢献した。
初回に1点を先制され、愛工大名電の2年生左腕に三回までは走者を一人も出せずにいた。しかし、四回、藤井選手の四球から1死二塁の好機を作ると、連続適時打で2点を奪い逆転。五回には2死二塁から藤井選手の右越え適時二塁打、六回にも7番の菅沼選手の適時左前打で加点し、着実にリードを広げた。試合が終わり、享栄ナインがマウンドに駆け寄ると、1万7000人の観客から拍手が送られた。
藤井選手は、2009年に中京大中京を全国優勝へ導いた大藤敏行監督から「一緒にプレーしたい」と声を掛けられたことが進学の決め手だった。1年夏からスタメンを務めたが、昨秋の右肩脱臼などけがに悩まされた。「迷惑をかけてきた分、最後は自分が活躍して監督を甲子園へ連れていきたかった」と思いを明かす。大藤監督も「藤井は勉強の成績も良いし、足も速くて打撃も優秀。人間的にも本当に素晴らしい」と全幅の信頼を寄せる。
近年は甲子園出場が遠ざかり「古豪」と呼ばれることもあったが「自分たち次第」と意に介さなかった。決勝について「相手に力があることは分かっていたが、最後は自分たちの気持ちの強さが勝った」。貴重な追加点となった適時打は「球速に負けない意識で直球を待てた」と振り返る。悲願の頂点に「このためだけにやってきた。監督の顔が真っ先に浮かんだ」と感無量の表情を見せた。
一方、菅沼選手も4月末に右手を負傷。「間に合うか焦ったが、親や先生、昨冬からバットを振り込んできた自信が支えとなった」と話す。駄目押しとなる4点目の適時打に「勝負強さが発揮できて良かった」と笑みを浮かべた。
東三河コンビの仲の良さもチームの力だ。藤井選手は菅沼選手について「かわいい後輩だが、本当に頼れる存在。お互いタメ口で話せるくらい仲もいい」と信頼を置く。菅沼選手も「野球の時はとても真面目だが、生活は意外と緩い。接骨院も一緒」と笑いながら明かした。
甲子園開幕は8月5日。藤井選手は「自分たちの野球をやれば、甲子園でも勝てない相手はいない」と意気込む。菅沼選手も「まだ3年生と野球がしたい。ベンチに入れなかった先輩の分まで勝ちたい」と力を込めた。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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