価格上昇により注目を集めてきた主食用米は年明け以降、値段や販売形態などの変化が続く。今年産の栽培も進み、早ければ8月後半には新米の収穫が始まる中、静岡県西部や豊橋市の売り場や生産の現場を訪ねた。
豊橋市神野新田町に広がる水田。家族で農業を営む平松農園は今年も例年と同じ2㌶に「コシヒカリ」を作付けた。猛暑による高温障害への懸念はあるが、代表の平松教孝さん(53)は「田んぼの水が熱くならないように新鮮な水を流し込むことを心掛けている」と話す。
栽培に欠かせない水が今年、不足する異変が起きた。県が田植えの時期を遅らせるよう求める事態に発展。とはいえ、田植えを遅らせた場合、生育の影響への懸念がある。その後、雨が降った。平松さんは田んぼに雨水をためて代かきを実施、例年と同時期の4月中旬、田植えをした。旧盆明けには収穫期を迎える見込みだ。
昨年は長年購入してくれている希望者に直接販売したところ民間業者に出す分が残らなかったという。「機械が壊れたら米作りを辞めようかとも思っていた」と振り返る。平松さんは「手間暇かけた米の価値を分かって食べてくれる人たちのために価格に振り回されずに栽培したい」とし、園芸品目を含めたベストバランスを探る。
市北部にある大村町で、「あいちのかおり」などを5㌶で栽培する小林和仁さん(57)は6月中旬に作付けを終えた。国の方針は、輸出もにらんだ前政権での「増産」表明から現政権で従来の「需要に応じた生産」に軌道修正された。「例年、田植えが終わった時点で翌年産の種もみを予約する」(小林さん)流れがある中、「方針を変更されたところで現場はすぐに対応できない。ビジョンは先を見据えて示してほしい」と語る。
収穫した米はほぼ全量をJAに出荷する。「販売価格が上がりすぎると消費離れの心配がある」とする小林さんは最近の価格動向を注視。「生産コストの高止まりは続いており、安すぎては米を作れない」と語り、農家が再生産できる水準をベースにした価格形成の実現を訴える。
「価格が高くてご飯を食べられないとの声を聞くのは農家としてつらい」。7㌶で米作りをする湖西市の菅沼園芸の代表、菅沼純一さん(64)はこう振り返る。今年も昨年と同じ面積に田植えをした。新たに高温耐性品種「にじのきらめき」の栽培にも乗り出した。
2年前、オリジナルの「純ちゃん米」を立ち上げた。昨年は購入希望者が増え顔の見える関係を築いた。一方、光熱費も含め生産に必要なコストはかさむ状況は続く。持続可能な農業の継承に向けて「食卓に適正価格で米を届けられるようにしたい」と語る。
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