高校卒業後、米国留学を志すアスリートが増えている。東三河ゆかりの3人の若者の挑戦を追った。
留学支援を行うGXA海外事業部の平林豊さん(42)は、留学はかつて、ドロップアウトした生徒が選ぶという側面があったため、関係者から「選手を流出させるのか」と反発を受けたこともあったという。そのうえで「日本人メジャーリーガーの増加や高校での国際バカロレア教育の普及などで今はポジティブな選択へと変化している。競技は英語習得や国際感覚を養い、就職を見据えたキャリア形成の手段となっている」と指摘する。全米大学体育協会(NCAA)ディビジョン1(D1)の日本人大学生アスリート数は、2020年時点で122人。今後さらなる増加が見込まれる。主流は「コミュニティーカレッジ(2年制大学)」から4年制への編入ルートだ。名門校への直接入学は壁が高いが、2年制で実績を積み、まずはスカウトの目に留まってステップアップを目指し、汗を流している。
新城市出身の渡邊昂さん(19)=アリゾナ・ウエスタン・カレッジ1年=の転機は中学2年生の時だった。兄の過酷な野球生活を見て「自分で考えて行動する野球がしたい」と渡米した。当初は言葉の壁に苦しんだが、近所のジムで高齢者らに積極的に話しかけ英語を磨いた。中学時代の硬式野球チームで走り込んだ経験が、現地コーチも驚くスタミナの礎となった。現在は左太もも裏のけがを乗り越え、内外野を守るユーティリティープレーヤーとして日々鍛錬を重ねている。「体を万全にして来季はレギュラーで活躍したい。いつかメジャーリーガーに」と話す。
岡崎市出身の小出水悠陽さん(19)=コミュニティー・カレッジ・オブ・ボルチモアカウンティ・エセックス1年=は、不登校を乗り越え豊川高校に進学したが、厚い選手層に阻まれた。「動画を送れば実力だけで評価してもらえるチャンスがある」と可能性に懸け、海を渡った。渡米直前は赤点ばかりの英語に「不安だったが、親が応援してくれている以上、覚悟を決めていた」と飛び立った。現在は左ひじのリハビリ中だが、「150㌔到達とD1大学への編入」を目標に再起を誓う。
横浜市出身の舘山洸騎さん(19)=レイクランド・カレッジ1年=は、小学校3年生のときにNBAスターのデリック・ローズ選手に魅了されて以来、米国への思いを募らせてきた。桜丘高校でエースガードとして活躍した。3年生の夏「人生一度きり、思い切って挑戦して」という母の言葉を受けて渡米した。1年目は常に体をぶつけ合う激しい環境や、「消極的だと試合に出られない」環境に直面することもあったが、首脳陣に自慢のドライブやシュート力をアピールし、レギュラーに定着し、アシスト数が全米2位を記録した。将来を模索しながらも「ヘッドコーチの戦略を理解して、チームを勝たせられる高いレベルの選手を目指す」と意気込んでいる。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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