福江高と福江中「連携教育」で田原の未来模索
今年度から本格始動した田原市福江地区、県立福江高校と市立福江中学校による「連携型中高一貫教育」。渥美地域ではこの数年で人口流出が目立つなど、地域衰退が不安視されている。“連携教育”は地域再生の希望になれるだろうか。
両校の“連携教育”は「県立高校教育推進実施計画」(県教育委員会)に基づき実施される。同計画は時代の変化や学校教育現場の課題、地域の将来像などを踏まえた、大胆に表現すれば教育改革と言える。
両校が展開する連携教育は教育期間を6年間とし、継続的な教育活動で生徒の学力や個性、社会性などを伸ばそうという考え方。最終的な狙いは学校の魅力化や地域の人材育成に帰結する。
今年度計画では、行事や総合学習を通じた生徒間交流をはじめ、部活動や教員相互の交流推進が目標。教員については情報交換にも力を入れ、チームティーチングやキャリア教育も実践していく方向とされている。
学校関係者らに連携教育への期待や効果、展望などを聞いた。
まず、提唱者の県教育委員会はこう見ている。「キャリア教育が手厚くなり、教員の授業の質(教え方などの点)が向上し、生徒の理解力を助け、生徒の学びの定着化が高まる」。さらに「中学生は高校生の姿を間近で見ることで自分の将来像をイメージしたり、高校生は高校生としての自覚が強まり学校生活が活発になる」など、双方向の社会性の育成にとってもプラスと考える。
福江高校は「両校とも地域密着の学校。連携教育による効果が地域に還元されれば、将来的に福江の地域力が高まるし、住民の暮らしの幸せにもつながることが期待できる」としている。
一方、学校現場で問題視されている教員の多忙化。これについて福江中学校は「長期的な計画に基づき、無理のない範囲で実践されるため、教員に負担がかかる心配はないと考えている」との見方を示す。続けて連携教育に関して「地域からの期待も高まっている」と話した。
連携教育がもたらす可能性は果たしてどこまであるのか。教育現場の挑戦を見守ろう。
(千葉敬也)