新城の養蚕業を後世へ「繭の糸引き体験会」

2017/07/17 00:02(公開)
糸引きのために繭玉(手前)を見る矢澤さん=新城総合公園で
 新城市内で行われている養蚕業を後世に伝える繭の糸引き体験会が16日、新城総合公園で開かれた。伝統ある絹糸作りのすばらしさを周知しようと養蚕に携わる女性2人が毎年この時期に開催。親子ら20人に技の一端を披露した。
奥三河地方ではカイコを育てて、約1300年前から伊勢神宮に絹糸を献上していたとされる。現在は同市出沢(すざわ)で海野久栄さん(93)が県内唯一の養蚕農家として毎年献納している。
 体験会の講師を務めたのは海野さんの作業を手伝う矢澤由紀子さん(49)=同市吉川=と牧安奈さん(36)=西尾市=の2人。矢澤さんは織物をしていたが、養蚕を学ぼうと市内に移住。6年前、同公園スタッフだった牧さんの要請を受けて開いている。
 会では矢澤さん「繭をつくるカイコは品種改良が加えられ、玉が大きくなるものもある。大きいものは機械向きです」などとカイコの生態や糸の取り方を説明した。
 参加者は繭玉から繰糸器を操作。手で糸車を回すと湯につけられた繭から糸が巻き付けられるのを間近で見て学んだ。
 「取り組む人の高齢化により、後継者不足となっています。ネットワークをつくって継承と絹製品の普及は必要」と矢澤さんは語った。
 会の終盤には海野さんも訪れて様子を見守った。「矢澤さんらはようやってくれる。ここまで養蚕に取り組んでくれてうれしい」と話していた。
(安藤聡)
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