東三河エリアでは、地域の課題を解決しようと挑戦する学生が増えてきている。今回紹介するのは、豊橋技術科学大学大学院情報知能工学課程4年(休学中)の松山航大さん。自身が中高時代に抱いたメンタル面でのつらい経験を糧に、メンタルヘルス分野での事業を立ち上げようと奮闘している姿に迫る。
松山さんは今年度末に大学を休学し、「合同会社ゼロベース」を立ち上げ中である。同社は、社会人や学生を対象に「メンタルの安定法」を指導し、心身のケアを習慣化させる研修事業を中心に展開するという。また、いずれは「メンタル版ライザップ(仮名)」と称し、一人ひとりが自分の内面と向き合い、行動変容へ導くプログラムも開発中だ。
活動のきっかけは、中学、高校時代にメンタルが落ち込み、限界に近い状態に陥ったことだった。「どうやって自分を保てばいいのか分からず、同じようにつらい思いをしている人がほかにも多いのではと思いました。」と振り返る。そこで、自身が学んだ知識や方法を体系化し、早期段階でケアを受けられる仕組みをつくろうと思い立った。
しかし、当事者だからこその悩みもある。たとえば専門的な資格を持っていない分、社会的な信頼を得るためには、プログラム内容の説得力や明確な実績が求められる。また、共感を原動力に仲間が集まる一方で、メンタルに課題を抱える人同士だからこそ、互いの不安を支え合う仕組みづくりにも細心の注意が必要になるという。
それでも松山さんは「始めて良かったことがたくさんある」と笑顔を見せる。研修事業の準備を進めるなかで、同じように悩みを抱える学生や社会人と自然に会話が生まれ「自分のつらい体験を話してもいいんだ」と思える場が広がったと手応えを感じている。「お互いに背中を押し合う関係が、想像以上に大きな力になります」と話す。
今後のビジョンは「カウンセラーや精神科医にかかる前段階」として、多くの人が気軽に立ち寄れるサービスを確立することだ。その先には、メンタリストDaiGo氏とのコラボや、AIを活用した人生経験の可視化プロジェクトにも挑戦したいという。「有名人だけではなく、一般の人が歩んだ人生そのものが、人を救うヒントになるはず。多くの人の事例を集め、悩む人が検索すれば答えが見つかるような仕組みを作りたい」と目を輝かせる。
原動力は「自分と同じ思いをしてほしくない」という切実な願いだ。東三河から生まれる新たなメンタルヘルス事業は、学生の未来だけでなく、地域や社会全体を照らす大きな希望になるかもしれない。
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