豊生病院理事長・鈴木さんが小説「白濁」出版

2018/10/11 00:00(公開)
著作「白濁」を持つ鈴木五雨さん=東愛知新聞社で
 豊橋市多米西町の豊生病院理事長・鈴木五雨さん(74、本名・鈴木剛さん)が小説「白濁」を角川書店から出版した。「医師でなくては書けない医療ミステリー」と作家・宗田理さんが評価、鈴木さんも「うまく書けた」と自負する。
 鈴木さんは、これまでにエッセイや小説を執筆しており、本格的な小説は2作品目となる。
 大学病院勤務の経験を生かした物語で、大学病院を舞台に3人の同級生が切羽詰った苦悩を抱えて生きていく姿を描写した。
 主人公の上島医師は、病気の治療中に病室から転落して死んだ婚約者の死因に疑問を抱き、真相にたどり着く。
 上島の友人、道野医師は子どもに知的障害があり、何とかしようと苦悩して精神的に追い詰められ、悪の道を選択する。この犯罪は医師ではないと思いつかない方法で読者を驚かす。
 また道野の友人、中島は資産家に養子に入ったが、義父に突然、隠し子がいることが判明し、その子に義父が多くの遺産を渡すと言い出し、自分の未来を守るために道野に協力を依頼する。
 本の帯は、鈴木さんの小説やエッセイのファンという宗田さんが担当。「綿密に仕組まれた完全犯罪。あまりにも切なく、あまりにも哀しい、医師でなくては書けない医療ミステリー」と絶賛する。
 鈴木さんは、「人間が生きていくことは、心が濁ると同義語。せめて黒くではなく、白く濁ろうと努力しているのだと愚考しています。この濁りをテーマに執筆しました」と話す。
 定価は1500円(税別)。豊川堂、精文館などで販売している。問い合わせは同病院(0532・63・1155)へ。
(竹下貴信)
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