豊橋鬼祭の小鬼面 72年ぶり新調

2020/05/19 00:00(公開)
鑿入の儀を執り行う北沢さん=いずれも安久美神戸神明社で
鑿入の儀を執り行う北沢さん=いずれも安久美神戸神明社で
 豊橋市八町通3の安久美神戸神明社(平石雅康宮司)は、国重要無形文化財「豊橋鬼祭」で使われる小鬼面を72年ぶりに新しくする。18日、神前に面の奉製を報告する「鑿入(のみいれ)開始奉告祭」が執り行われた。豊橋出身の面司如意ノ坊三世 能面師、北沢美白さん(33)が奉製を開始、神明社内の潔斎(けっさい)殿に5日間こもり、木彫をする。完成は今年12月で、来年2月の祭当日に披露する予定だ。
 豊橋鬼祭は地元に春を告げる天下の奇祭。毎年2月10、11の両日にあり「赤鬼と天狗(てんぐ)のからかい」や白い粉や飴をまく従者と共に氏子各町を走る鬼の姿で知られる。小鬼の行事は1882(明治15)年から始まり、92年に正式な神社の行事になった。現在の面は戦後間もない1948(昭和23)年に作られており、担当の札木町によると数年前から破損の心配をしていたという。
 昨年、新天皇ご即位を祝し、新面奉製事業を開始。昨年の天狗、赤鬼面に続き、今年は小鬼面を新調することとなった。時節柄、奉告祭は札木町関係者、各町氏子総代ら少人数が出席。拝殿で平石宮司による祝詞奏上などの後、鑿入の儀があり、北沢さんが面にするヒノキを前に鑿を木づちで3回たたいた。
 奉告祭後は、北沢さんが潔斎殿に向かい、木彫を始めた。22日には彫刻した面を神前に供えて鑿入終了を報告する。その後、京都嵐山にある北沢さんの工房で彩色、仕上げの作業がある。
 札木町代表で出席した氏子の中野忠さん(84)は「古い面なので気を付けて使い、何とかもたせてきた。2年ほど前から割れが心配で宮司に相談してきた。新しい面が楽しみで楽しみで仕方ない」と喜びを語った。
 平石宮司は「昨年は赤鬼と天狗の面が新たになり、令和を迎えて良いスタートを切った。厳しい状況下だが、奉製は粛々と執り行っていく予定。何とかお祭りが引き続いて行えるよう願うばかり」と話す。安久美神戸神明社は、来年は青鬼面、翌年は宇受売(うずめ)面、3年後には黒鬼面を新調したいとしている。
(田中博子)
奉告祭後、八角から潔斎殿へ向かう
奉告祭後、八角から潔斎殿へ向かう
潔斎殿にこもる北沢さん㊧
潔斎殿にこもる北沢さん㊧
続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。
最新記事

日付で探す

蒲郡信用金庫 さわらび会 光生会 藤城建設 虹の森 住まいLOVE不動産
hadato 肌を知る。キレイが分かる。 豊橋法律事務所 ザ・スタイルディクショナリー 全国郷土紙連合 穂の国